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「ねえ、あなたのところのホームページすごく見やすくなったわよね」  ひとりのお客様にそう言われ一瞬驚いたが、真宮がページをサーバーに上げてくれたのだとすぐに分かった。 「ありがとうございます。今は配達もできるようになりましたので、何かありましたらよろしくお願いします」 「あら、そうなの? 助かるわ。今度ね、お友達のお店がリニューアルするからお花を贈りたいと思ってたのよ」 「そうなんですか? ぜひその時は素敵なのを作らせてもらいますよ」 「そういえば、少し前にホテルのロビーでね、ここのホームページの写真と同じお花を見たわ。やっぱり実物になると素敵よね」 「え? 同じって、何でしょう?」 「ほら、ページを開くと初めに出てくる、あの素敵な写真よ」  藤崎も完成したものを見ていない為、どの写真を使ったのかは分からない。声をかけてくれればいいのに、と思ったが、忙しくてそんな時間がなかったことに肩を落とす。  しかしそれと同じものがホテルのロビーにあるというのも不思議な話だ。まさかその写真をページのトップに使ってしまったのか。そういうことに詳しい真宮がそんなことをするとは思えないが、少し不安になった。 「そうですか。ありがとうございます」  とりあえずはごまかして返事をし、接客を終えた。なにか嫌な予感がしたが、忙しくなった仕事のせいで、終わるまでその写真のことは聞けないままだった。  日暮れるのが早くなり、店先の灯火も夕方にはスイッチを入れる。クリスマス仕様の電飾がチカチカと光る中、ひと区切りした藤崎は奥にいる真宮の元へと向かった。 「真宮くん。ホームページ完成したの?」 「あ、まだですよ。細かい所はリンク切れてたりしますけど、外観だけはできてきたので大まかな部分とトップページはアップしたんです。藤崎さんには完成してからお知らせした方がいいかと思って」 「そう。さっきね、お客様から素敵だねって言われてびっくりしたよ」 「そうなんですか? ひとこと言っておけば良かったですね。すみません」 「ううん。いいんだけど。その、ページを少し見て来ていいかな?」 「ええ、構いませんよ。ちょうどお客さんも切れたので、少し花桶の整理してきます」  じゃあお願い、と真宮を残して奥へと引っ込んだ。ノートパソコンを立ち上げ、静かな緊張に胃がキュッと絞まる感じがした。  ブラウザを立ち上げお気に入りからアクセスすると、白い背景にロゴ入りのイラスト画像が出てきた。Tを逆さまにしたようなアレンジメント。モルセラ、アスター、ブルーレースフラワー。これは奥村が考えたアレンジメントのスケッチ画像だった。

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