13 / 66
1-12 一方で。
俺のこれまでの人生は、
ただただ平坦で平凡な世界と
どこまでも落ちていきそうな暗黒が
薄ぺらな紙切れ一枚のように、すぐにひっくり返ってしまうような。
それが罰ゲーム的に積み重ねられていて
錆び付いた歯車のように、ガリガリと醜い音を立てて
円滑とは程遠い。
そんな巡り方をしている。
光あれば闇もある。
光が強ければ強いほど闇もまた深く、濃く、口を開けて待っている。
右は闇の入り口の縁に立っていて、その深淵を覗き込んでいた。
「そうなのよ、先生…どうにかしてくださいますう?」
やたらと露出の高い服を着ている女性は、
眉根と谷間を寄せて上目使いで見つめてくる。
きつい香水の匂いで充満した教室、
右は身体の体温が引いていくのを感じながら、笑顔を貼り付ける。
ともだちにシェアしよう!