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1-14 一方で。
外の空気を吸うと幾分か
体調や動悸が楽になって行くように感じた。
右は小学3年生のクラスを受け持っていて、
色々とそれなりに大変ではあったが
子ども達と接するのは好きだし、この仕事はやり甲斐があると思っていた。
極論大人がほとんどいない空間で毎日子どもと遊んでいられるのは
幸せなことだとすら思えるし。
だけれど昔から厄介なこの性質だけはどうすることもできない。
「はぁ……」
右はため息を零しながら、ずるずると力が抜けるように崩れ落ちて
窓枠に両手を置いたまま座り込んでしまった。
女性が苦手。
右はそんな謎の性質に悩まされ続けていた。
発症を自覚したのは中学生頃、不意に女子生徒と身体が密着したときに
莫大な吐き気を覚えて、トイレまで走ってそのまま嘔吐した。
今までも確かに女性が近くにいて気分が悪くなることがあったが、
まさかそんなことが原因とは思わず
自分は随分脆弱になってしまったものだと恐ろしく考えていたのだが
現実はもっと過酷だった。
家庭環境も普通だし、女性になにか恐ろしいトラウマを植え付けられた記憶もなかった。
ゆえに家族にも友達にも、誰にも相談できぬまま
以降の学校生活は、毎日怯えて暮らす地獄のような日々だった。
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