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1-16 一方で。

「…っ、ごめん…ごめんなさい…っ」 ベッドの上にぶちまけられた、 彼女の吐き出した吐瀉物を見下ろしながら、 右は小さく笑うしかなかった。 「…俺こそごめんね…」 その震える肩を抱くこともできない。 触れることも、これ以上近付くことも。 右もまた自分の身体が、呼吸がままならなくなっている事を感じていたから。 好きなのに 好きなのに。 遠く離れながら2人でそんな風に叫んだ。 誰も悪くない、誰も悪くない。って。 ありがとう ごめんね さよなら って。

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