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1-21 一方で。

流されたくないと必死に抗い首を動かすのだが、唇がすぐ離れてもまた追いかけられて塞がれてしまう。 「っん…ばか…、やめろっ、て…」 「んんー」 左はどこか楽しそうに服の中に侵入した手で背中を撫でてきて、 素肌に触られるとざわざわとした妙な熱に襲われ始めてしまう。 唇が離れ文句を言いたかったが、彼にぎゅうっと抱き締められる。 「…無理しないでよね」 耳元でどこか辛そうな声を出される。 そんな風に心配する必要なんてないのに、と右は奥歯を噛みながら小さく頷くことしかできなかった。 「右が居なくなったらやだよ…」 「居なくなるわけないだろ…バカだな、心配しすぎなんだよ」 「うん、ごめん…」 抱き締められながらも、それでもどこか悪い気がしていない自分がいて 右はそんな自分に呆れながらも彼の背中を撫でてやった。 やがて彼に耳を舐められて、ひゃ、と変な声が出てしまった。 「…っ、や、こら…」 食べられそうな勢いで耳にしゃぶりつかれ、頭に血が昇り 右はあいた片手で彼の鳩尾に拳を沈めた。 変な声を上げながら左は蹲り、震えているようだった。 「も、う!調子乗んなハゲ!」 「ぐ…ハゲ…てないし…」 震える左に、右は顔が発火しそうになりながらも目を三角にして怒って キッチンから追い出すのだった。

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