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1-28 タイムスリップ
ヨコのように別人みたいに変わる人間もいれば
いつまでも平行線の人間もいる。
それはきっと誰かとの出会いが作用するのだろうと左は思った。
晴空るりこやあのアイドルグループは誰と出会いどう変わっていくのか。
はたまた変わらないのか。
それでも歌うしかない。
戸賀もまた、それでも歌うしかないのだろう。
こういう風に考えられるようになったのは、
右と出会って一緒に過ごせているからだ。
それを感謝こそすれ後悔などするわけがない。
右と出会わなければ自分もあんな風になっていたかもしれない。
だが、自分は自分として割り切って生きていくしかないのだ。
「あぁあ、洗剤の香りは恋の香り 悲しい気分をまとめて洗い流せば
真っ白に漂白された明日がくるね
だからあなたと回りたいの 洗濯機で回りたいの」
左は口ずさみながら夜の街を抜け帰路につく。
なんだか無性にギターを、掻き鳴らしたかった。
「…洗濯機で……」
まっすぐ家に帰ろうとしていたのに、妙な感覚に脅かされて
左はくるりと踵を返し、駅に背を向けて歩き出した。
久々に酒を飲んだせいかもしれない。
左は気付けば知り合いのライブハウスに足を運び、
そこらへんのバンドからギターを奪って飛び入り参加してしまった。
断酒していたはずが客に酒を奢られ、断れずに飲み漁った。
変なモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしたいのもあったのかもしれない。
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