32 / 66
1-31 隣で見てる。
「明日記憶無い奴とは、致しません」
右は呼吸を整えながら口元を拭うと、
彼は力無くベッドの上に横たわって、滲んだ瞳で見上げてくる。
「あるし…」
「無いだろ…絶対」
「お願い…いかないで……」
左はそう言いながらも涙を零し始める。
「……っ、右がいなくなったら、僕はダメなんだぁぁ…」
「はぁ?」
ベッドに寝転がったままぐすぐすと泣き始め、
訳のわからないことを言い出されてしまう。
右は仕方なく彼の頭を撫でてやった。
「全く…どうしたんだよ…?」
確かに彼は表情豊かで子どもっぽい所があったが
酒の力とはいえこんな風になられると、放っておくこともできない。
「だっ…て、だってさぁ……っ」
左は両手で顔を覆って震え始めて、
どうやら只事では無いらしい。
「…左?」
「…っなんにも…知らないでかってに…、勝手に…っ!」
彼の近くに身体を寄せると、左は寝転がったまま右の腹の辺りに抱きついて来て
大号泣し始める。
ともだちにシェアしよう!