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1-34 深淵と瓦解

俺じゃなければよかったのに。 何度そう思ったかしれない。 だけれどどう足掻いても俺は俺でしかいられない。 俺が俺である物の中に、生きる意味とかをなんとなく見出して いつでもすぐ後ろで口を開けている闇に引き摺られないようにしているだけにすぎない。 左はいつもそうやってすごくいいものかのように言ってくれるけれど、 消えてしまいたくてたまらなかったこんな俺を救ってくれて 世界から外れた俺を、確かにここに繋ぎ止めてくれていて。 “俺は俺でしかいられないから お前が俺を俺じゃなくしたくても 土台無理な話だし お前だってお前を生きるしかないんだけど そこらへんわかってんのかな” 居なくなられたくないのは、 取り残されたく無いのは、 本当は俺の方なんだ。

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