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1-45 悪役でいい
右は彼らを見ようとしたが戸賀に顎を掴まれ向き合わざるをえなくなる。
「…咥えろよ」
無表情に見下ろされ、右は戦慄した。
逃げたいのに、頭を掴まれ身体も羽交締めにされていて動けない。
ベルトを外し前を開けられ、すでに半勃ちの彼の自身が現れた。
もうやめて欲しかった。こんなことはなんの意味もない。
誰も救われない。
そう言おうとした瞬間口に一気に突き立てられ噎せそうになる。
「ーーっ!?…ん、ぐ…ッ」
奥まで無理矢理入り込まれ、苦しさと吐き気で思わず涙が出た。
「歯立てんなよ」
掠れた声で言われ、頭を掴んで動かされた。
喉にひっかかって嗚咽しそうだったが我慢して口を開けた。
先走りの液体で口内がぐちゃぐちゃだった。
「っぅ、ん"…ッ、う」
息苦しくて、悲しくて。涙が溢れでる。
男達の湿気った笑い声が遠くで聞こえていた。
「すげえ…」
「えっろ…」
シャッター音が鳴り響く中、右は必死に目を閉じて耐えていた。
「…っは、左…」
戸賀が消えそうな声で呟いた。
なんで、そんな、そんなに好きなのに
こんな風でしか遂げられないんだよ。
悲しくて、苦しくて、辛くて。
次の瞬間、口腔に生暖かい液体が注がれ右は思わず口を離してしまった。
白濁の液体が顔に飛び散る。
「…っは、…っふ」
戸賀を見上げる。
彼は泣きそうな眼をしていた。
頭を掴む手に力はなかった。
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