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1-49 遊び

ヨコは右を通過して行って、その大男を見上げると鉄パイプを床に突き立てた。 大理石の床に聖剣のように刺さった鉄パイプに、床に倒れた男達も息を呑んでいる。 「それよりもサトナカくん変わってないみたいだね! 相変わらず、そんなに、俺に、蹴り回されるのが、好きなんだァ…?」 「ひぇ…ッ」 およそ人間の身体から出ているとは思えない音を聞きながら右は苦笑した。 「いつの間にりゅうが如くになったのかな…」 思わずツッコんでしまいながら、疲れた身体を横たえていると ぶち壊れたドアの向こうから、血相変えた左が飛び込んできた。 「右…っ!」 彼はこちらへ走ってくると、泣き出しそうな顔で床に這いつくばり右の頬に触れた。 自分が情けなくなって右が思わず笑ってしまうと、彼は怒ったように眉根を寄せ顔をあげる。

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