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1-50 遊び
「何やってんの…?」
左は立ち上がり、幽霊のように生気なく立っていた戸賀に掴みかかり、頭突きする勢いで顔を近付けた。
「呆れて物も言えない……」
絞り出すような声で左はそれだけを呟き、
突き飛ばすように戸賀を床に叩きつけた。
「…恨んでる?俺のこと殺したい…?」
床に倒れたまま戸賀が泣きそうな声を出した。
「いつもヘラヘラしてるお前キレさせるの、俺好きだったんだよなあ。今思えば、ね…
昔はお前よくキレてたよね、その度いい曲作ってさぁ…」
「いい加減にしなよ。
青春ごっこは1人でやってよ…」
鋭い声で左は彼を突き刺しながら右の身体を助け起こす。
「ごめん…ごめん右…僕のせいだ…」
朦朧とした意識に入り込みかけていた右は、左に抱きしめられて
身体がふわふわするのを感じながら苦笑した。
「…お前はなんも悪くない…」
「右の方が悪くないでしょ…っ!?
なんでこんなにボロボロにされないといけないんだよ…!!!」
「ごめんって……」
右は目を細めて、彼の髪に顔を埋めた。
ああ、酷く安心してる。
こんな自分はやっぱり自分勝手なのかもしれない。
「謝んないで…ごめん、ごめん右…」
泣いているような声に、右は口を歪めながら首を横に振った。
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