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1-57 微睡と本音
すっかりと日が暮れ、世界が闇に包まれた頃ようやく目を覚ました。
気合いだけで1日を乗りこなし、よく帰って来られたなというような状態で
ほとんど気を失うようにベッドに倒れ込んだ。
隣で眠る左の顔は、月明かりに照らされて綺麗に見えた。
もう少しマシな顔が出来るだろうというぐらいとんでもなく酷い寝顔だったけれど、
右にとっては少なくともそうだった。
自分が仕事している間、寝ておけばいいのに彼もまた仕事をしていたらしい。
罪滅ぼしなのか罪悪感かはわからなかったが、どこかおかしくなったテンションで
なんかノっちゃってね!、と言う彼は多分本当にそうだったのだろう。
アーティストという職業の変態性はよく分からなかったが、
お互いによく頑張ったとは思う。
「…俺たち格好いいよな…」
右は小さくそう呟きながらも、彼の頬に人差し指を軽く突き刺す。
その顔を見ながらつい面白くなって笑ってしまう。
「……ん“…」
左は不細工な声を出しながらも身じろぎをして、薄らと目を開いた。
「あ…起きた?」
もうちょっとごろごろしたくて、頭の下に腕を入れながらも声をかけると
彼は、んー、と気怠げな声を出しながら目を擦っている。
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