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1-62 微睡と本音
左はどこか余裕がなさそうに見下ろしてきて、首を傾けた。
「動いてい?」
「…っ、だめ…」
右が拒否すると左は、えー、と口を尖らせながら右の瞼に口付けてくる。
頬や耳に口付けられる最中、僅かに腰が動き始めて
そんな僅かな動きでも身体が震えてしまって。
「すっごいびくびくなっててかわいーなぁ」
「ぁ…、だめ、だって…」
耳を食まれながらも彼の中心が内部を擦り始めて、
どうしようもない熱に右は仰け反るように身を捩った。
「あ、…ぁ、むり、や…、ーッ…!」
彼が少し早く動いただけで、頭の中が真っ白になって
シーツを握り締めながら襲ってくる感覚に全てが奪われたようになる。
「は…、っ…ふ、…」
昇り詰めた熱が引いていくと、左に頭を撫でられた。
どこか切なげに目を細めながらも、彼は動きを止めてくれていて
変に膜がかかったようにぼうっとなる頭で
こいつけっこういけめんだなぁ、などと思ってしまっていた。
「好きだよ、右…」
左は右の頭を撫でながら愛おしそうに呟いている。
達したばかりで気怠いはずの身体がまた妙に騒ぎ出すので
そんな身体を動かして、彼の唇に口付けた。
「うん…」
唇をくっつけたまま呟き、そのまままた彼の下唇を食んだ。
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