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1-64 微睡と本音
やがて呼吸が落ち着き始めると、
ゆっくりと両手を離して抱き締めあった。
「……左」
「ん…」
「すきだよ…」
彼の耳元で小声で呟いた。
酸欠でぼうっとなった頭で、ついつい口走ってしまったのだが
がば、と左は顔を上げて目を丸くしてこちらを見下ろしてくる。
「え?もっかいいって?」
「…無理」
「今のやばかったんだけど!ねえ!」
「煩いなぁ…」
右は彼の顔を押し退けながら、気怠い身体を引き起こした。
なんだか段々恥ずかしくなってきて、右はため息を零しながら床に足を下ろした。
「ねえ待って待って待ってえ!もっとイチャイチャしようよお!」
「嫌だ。腹減ったし」
「ええ〜!」
左は変な声を上げながら頭を抱えていて、
さっきのあのイケメンは幻だったか、と思いながらも
彼に背中を向けちょっと笑ってしまう右であった。
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