65 / 66

1-64 微睡と本音

やがて呼吸が落ち着き始めると、 ゆっくりと両手を離して抱き締めあった。 「……左」 「ん…」 「すきだよ…」 彼の耳元で小声で呟いた。 酸欠でぼうっとなった頭で、ついつい口走ってしまったのだが がば、と左は顔を上げて目を丸くしてこちらを見下ろしてくる。 「え?もっかいいって?」 「…無理」 「今のやばかったんだけど!ねえ!」 「煩いなぁ…」 右は彼の顔を押し退けながら、気怠い身体を引き起こした。 なんだか段々恥ずかしくなってきて、右はため息を零しながら床に足を下ろした。 「ねえ待って待って待ってえ!もっとイチャイチャしようよお!」 「嫌だ。腹減ったし」 「ええ〜!」 左は変な声を上げながら頭を抱えていて、 さっきのあのイケメンは幻だったか、と思いながらも 彼に背中を向けちょっと笑ってしまう右であった。

ともだちにシェアしよう!