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焦燥

 グレイの事を好きだと自覚して4日が経った、ここに来てちょうど1週間だ。  毎日しっかりとした食事と運動のお陰で、俺の体はすっかり健康体になった。  肌も小麦色に焼けて、二人の筋トレにも付き合ったので、少し体が引き締まった気がしなくもない。  拉致されて無人島に連れてこられて、こんな健康的な体と心になるなんて……拐われた時は思いもしなかったな。  ただし、体はど淫乱にされたけども。 「あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!!」 「おおっ、出てる出てる」 「気持ち良さそうだね、洸也」 「や゛ぁぁぁあああああっ! 死ぬ゛う゛うううっ!」  ジェイスの巨根を差し込まれて、下から突き上げられながら、グレイに激しく扱かれて潮を吹いた。  パチャパチャと自分の体に自分の出した液体がかかる。あたまおかしくなる! らめ、おかしくなるっ!  ガクガクする体に、快感が強すぎてついていけない……! 俺は失神するように、そのまま意識を手放した。 -----  目が覚めたら、外はもうすっかり夜だった。  いつものように、俺の体は綺麗にされていて、ジェイスが洗ってくれたバスローブに身を包んでいる。  水が飲みたいと思って部屋を出たが、二人を起こしては悪いと静かに扉を開けた。  いつも食事をしているリビングの明かりがついていて、二人とも起きていたのかとその扉に近づいた。 「明日の11時に迎えがくる」 「また急だな、あと3日くらい居る予定じゃなかったか?」  そんな話し声が聞こえてきて、明日帰りの船が来るのだと理解した。 「明日……?」  ギィッと扉を開ければ、二人は驚きを隠さない表情で俺を見た。 「洸也……」 「もう起きたのか!? いつもなら朝まで寝てるのに」 「喉が渇いて……」 「あぁ、待ってろ」  ジェイスが立ち上がって水を取りに行ってくれる。  ジェイスはこの島に来てからずっと、グレイだけじゃなく俺の事も甲斐甲斐しく世話してくれた。 「明日なんて……聞いてない」 「ジェイスにも今話した」  そ、それは……そうだろうけど。  俺、二人とこの先どうするかなんて話が出来てない。  遠くない未来にこの島を出て、俺は元の生活に戻るって事は、分かってた。  それが、明日。  心の整理も準備も、まだ何も出来てない!  二人が何も言わないから、まだしばらくこんな生活が続くのだろうと……考えるのを先延ばしにしていた。  ジェイスが俺の目の前まで、コップに入れた水を持ってきて、心を落ち着けるように一口飲み干した。  味がしない。 「やっと解放されるよ、嬉しい?」  グレイから思ってもいなかった言葉を投げかけられて、俺は呆気に取られたように口を開けたまま、声を出すことができなかった。 「なんで、そんな事言う……」  ゴクリと空気を飲み込んで、やっと言葉にしたのがそんな台詞。 「だって洸也は拐われてきたんだよ? 忘れちゃったの?」 「グレイ……?」  訝しげな声をあげたのは、ジェイスだった。 「洸也は僕たちに拉致されて、無人島に閉じ込められて、レイプされたんだ……ここに居る間ずっとね」 「違う!」 「違わないよ」 「違う!!」  冷たい言葉をかけられて、明日からはもう関係ない間柄かのように言い放たれて、泣きたくなった。 「俺は……楽しかった、お前らと過ごして……いっぱい笑って、嫌なこと全部忘れられたし」 「こんな体にされたのに?」  近寄ってきたグレイが、俺のバスローブの前を開け放った。  首から太ももまで、二人につけられたキスマークで、色んなところが赤い。  でも俺にとっては二人に愛された証で、それを酷いもののように言ってほしくなかった。  守るようにバスローブの襟を合わせると、グレイが俺の手首を掴んで歩き出した。 「おい、グレイ!」 「ジェイス、お前は来るな」  リビングの扉が閉まる間際、ジェイスが心配そうにこっちを見ていた。  連れて行かれた先はグレイの部屋で、入るなり鍵が閉められた。  一週間ここに滞在して、初めてグレイの部屋に入った。  かなり小さいパソコンに、モニターが3台繋がっている。俺のとこより少し狭い部屋、俺のより小さいベッド、窓は小さくて、多分景色も俺の部屋の方が綺麗だろう。  あぁ、俺って大事に扱われてたんだな。 「洸也は、帰ったら僕達を警察に突き出すんだったよね?」  それって、ここに来た時に言った……聞こえてないと思ってた。 「もう、そんな事思ってねぇよ! そんなの見てればわかるだろ」 「わからないよ! 人の気持ちなんて分からない!」  ダンッ、と部屋の扉を壊さんばかりの、強烈な音が響いた。 「目に見えるものと、考えていることは違う、人は平気でウソをつく」 「俺は嘘なんかついてない!」  どうしたって言うんだ!? なんで突然、こんな疑心暗鬼になってるんだ。  グレイが迫ってきて、乱暴に俺をベッドに押し倒した。 「落ち着けよ、ちゃんと話そう……俺はグレイと」 「安心して、ちゃんと傷つけるから」  うつ伏せの状態で上に跨られて、両腕を捻りながら後ろで掴まれて……。 「痛っ……離してくれ! こんなことしなくても逃げない!」 「わかってるよ、だって僕がそう洸也に教え込んだんだから」  バスローブがめくり上げられて、下半身が晒された。  そのままグレイのが充てがわれてゾッとした……ローションもつけてないのに!!! グッと押し込まれて、ギチッと俺の入口が抵抗する。 「あ゛ぁっ!」  しかし俺の体が抵抗したのは最初だけで、後はぬるりと簡単に奥まで飲み込んでしまった。 「あぁ、これじゃ傷つけられない……こんな体にされたんだって、自分で証明できる?」 「お前、さっきから何言って……」  こっちは十分傷ついてる! 心が傷ついてるよ! 俺はお前と愛し合うセックスをするのが好きなんだ。こんな、強姦みたいな行為……全然好きじゃない! 「やっぱり折ろう、そうすれば診断書が出る」 「はっ!?」  折る……折る!? 何を!?  捻られた後ろ手に力が加えられて、グレイの意図が分かってゾッとした。  まさか、俺の腕を折る気なのか!?? 「おい! グレイ! やめろッ!!」 「だってこうしないと、合意だったって事になっちゃうよ」 「ふざけんな! 誰もそんなこと頼んでねぇだろッ!!!」 「僕はちゃんと責任を取らなくちゃいけないんだ」  ああっクソッ! 話が通じねえええっ!!!  グッと腕に力が入った瞬間、ドンドンドンッと激しく扉が叩かれた。 「おい! 何やってんだ!」  ジェイスッ! 一瞬グレイの力が緩んで、その隙に全力で上半身を捻ってグレイを持ち上げた。  俺の上に乗るようにして、性器を突っ込んでいたグレイは、バランスを崩して手を離した。  グレイがベッドの上で体勢を立て直す前に、俺はその胸ぐらを掴んだ。 「いい加減にしろ!!!」  その高い鼻めがけて真正面から拳を振るえば、グレイは避ける事もなく、見事にそれを食らって、ひっくり返った。

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