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蒸気
−−−鈴木遼一side−−−
「ちょっと、遼一…これ、なんか……なんかさ…」
自分の胸を使って背中を洗うよう指示したら、戸惑いつつも泡をつけた胸を押し付けて上下し始めた。
これ、絶対後ろ見たら瑞希が卑猥な動きしてる。俺の股間がすでにヤバい。瑞希も乳首が擦れて感じているのか、洗いながら色がついた声が漏れてしまってる。自分で気づいてるのかな、俺を誘うような声出してること。
今絶対後ろ見たら可愛い。絶対可愛い。絶対見ちゃいけない。
「瑞希、背中だけじゃなく両手使って前も洗うんだよ」
「はい…」
ついつい我慢出来ずにチラ見してしまったら、風呂のお湯の熱気のせいか、はたまた感じてきてるからか、瑞希の顔が蒸気してきていて、この顔はこれから俺が見られるものじゃなく、ここの客が見るものなんだと意識したらイライラしてきた。
ソープでの仕事を教えなきゃならないのに。瑞希は借金を返してもらうための道具なのに、なんなんだよ。こんな状況になってしまったことに腹が立つ。
「遼一、どうして哀しそうな顔をしているの?」
俺の様子が変だったのか、瑞希は俺の前に回ってきていて、心配そうに見上げてきた。
カッと顔が熱くなり、気がついた時には後頭部を鷲掴み、深く深く唇も口内も貪ってしまった。
浴槽には溜まりかけのお湯。
浴室の温度はどんどん上がっている。ぴちゃ、くちゅ、音が反響して瑞希の口内を犯す音とお湯を溜める音しか聞こえなくなる。
部屋の熱気のせいで暑いのか、俺が瑞希にのぼせているせいなのか。
この子を早くデビューさせなきゃいけないという焦る気持ちと、デビューさせて俺以外が瑞希に触ることの嫉妬で葛藤してた。本音はこのまま抱いてしまいたい。
すけべな事の知識を持たない瑞希の初めてを全て奪ってしまいたい。
高校で笑ってる瑞希、余計な仕事を押し付けられて嫌な顔一つしない瑞希、あぁ、好きだな…可愛いな…って思った時の、あの頃の気持ちのままに抱いてしまえたら…。
キスに応えようと必死に背中にしがみついてくる小さな手。
ふっくら厚みのある唇、色白の滑らかな肌。全てが俺を誘っているなんていう勘違いをしそうだった。瑞希の全てが……。
「遼一?」
溢れそうな浴槽の湯をとめなきゃならないと気づいて我に返った。真顔の俺を見上げてくる瑞希。潤んだ瞳、蒸気した頬にまた触れたかった。
「今日はここまで。風呂入って帰ろ」
瑞希を抱えて風呂に入った。多分屹立した俺のが瑞希の背中に当たってて、瑞希は恥ずかしそうに俯いてるだけだった。
当たってるよとかツッコんでくれる余裕もない純な子なんだよな…。
早く静まるようにと思いながら脳内で関係ない歌を歌う。
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