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最初は遼一と…
そうだ、以前もチャイム押すんじゃなくて、自分で鍵あけて入ってきたんだ。それだけ遼一が信用してる人なんだろう。名前は…えっと…。
「名前、瑞希であってるよな。俺は市川」
「あっ、市川さん……。いらっしゃいませ?遼一に用事ですか?まだ帰ってないんですよ」
「知ってる」
「あっ、じゃぁ座って待ちますか?今お茶でも…」
「いらない。あのバカがさ、ちんたらやってるから俺がもらってさっさと店出てもらおうと思ってさ」
えっ、それってもしかしなくても俺の事だよね。遼一が頼んだのかな…。
俺があんまりにダメだから……。
最近様子もおかしかったし、そうかもしれない。
市川さんについて行くようなのかな…。
「俺、市川さんに着いて行くようなんですね?ここを出るようなんですか?…荷物…まとめますね」
「違うよ」
あっという間に視界が変わった。背中はソファーで、目の前には市川さん、えっと……、この体勢ってさ………。
「あのぉ…」
「人を疑うの知らなすぎるよな。俺がもらうって言ってるのはお前のここな。あのバカがなかなか手ぇ出さないから」
市川さんがここって言って触ったのはズボンの上からだけど俺のお尻の穴だった。
「お尻?」
「ここの穴使って客とセックスすんだよ。まだ聞いてなかったのか?何となくは分かってただろ?ったく、あのボケちんたらしやがって…」
多分後半は遼一に言ってて、僕のお尻の穴を使って、その、お客様とエッチな行為を…。
遼一が自分に慣れるように、まずは人肌に慣れるようにって、いかにゆっくり俺を甘やかしながら教育していてくれてたのか分かった。
普通こんなとこ使わないもの。
それなりの何か準備が必要なんでしょ?
遼一に甘えきって、自分で調べようともしなかった俺もバカだったなと思った。
もっと真剣に、ソープってお店について、男同士でエッチな行為をするって事について、調べなきゃいけなかったんだ。
「もう、人と距離近いのは慣れたよな?慣れてなくても待たねーけど」
どうしよう。嫌だとか言える立場じゃない。
俺は相手が遼一だからこそ嫌じゃなくなってきてて、ドキドキして、遼一のだから背中にアレが当たっても嫌な気持ちにならなくて…寧ろ俺で興奮してるって気づいたら嬉しくて……。
「ごめんなさい、市川さん…俺、そういう事スルなら最初は遼一とがいいです…」
「もうそんな悠長なこと言ってる場合じゃないの分からないのか?利息はどんどん膨らんでくんだぞ?」
「そう…ですよね。市川さんが俺のことも考えてそう言ってくれてるの分かります。でも、でも俺……」
「もう遅いんだよ」
市川さんの瞳が近づいてきて、遼一が信頼してる人だとしてもそれは嫌だ…、嫌だ…と、固く目を閉じてしまっていた。
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