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 トクン、トクン、トクン。  初めて自分からキスしてくれたものの、この先どうしたら良いのか分からなくて、俺にしがみついたまま動けなくなってるんだろう瑞希の心音が聞こえる。    最初から少し速かったけど、今は速度を増してきている。困ってるけど、離れたくないのかなってくらいは自信持っていいのかな。  こんな状態で好きな人にしがみつかれてるのは、ちょっと、辛抱たまらないってもので。このまま押し倒したい、けど、怖がらせたくない。  瑞希と再会して、自分がどうしようもなく考えてしまう質なのを思い出した。考えずに、本能のままに素直になれてたら、こんな遠回りせず、博美さんの手を煩わすこともなかった。 「瑞希、…………いい?」  これだけ言うのも案外必死。好きな子相手って本当に難しい。 「えっと………もっとエッチなことしてもいい?ってこと?」  不甲斐ないけれど瑞希に言わせてしまった。 「うん。そういうことです」 「なんでカタコトなの?遼一も緊張してるの?俺の方が緊張してるからね?緊張移さないでほしいくらいだよ」  大笑いしてるから緊張解けたんじゃないの? 「もっと笑わしてやろうか」    起き上がってた瑞希をソファーに沈めて脇をくすぐる。 「えっ、ちょっ、待っ、遼一、んひゃ、変な!待っ、あはっ、無理無理無理無理!ギブアップ!離してったら!」  想像以上にくすぐったがりだった瑞希の笑い声でも勃った。変な笑い声あげるんだもんな。やばいなこれ。 「もう!遼一ってば!俺こっち側慣れてないのに!」  こっち側?瑞希は一体何を…。 「あっ、こっちってのは、弟妹くすぐる側はよくあったけど、くすぐられるのは慣れてないってこと!」  俺の怪訝そうな雰囲気が伝わったらしい。 「そういうことか……。瑞希さん、あんまり可愛い声出すから俺ヤバイんだけど」  伸し掛かったら、俺の遼一二世が瑞希に質量を伝えてしまったみたいで、またも瑞希から可愛らしい「あっ…」って吐息とともに小さな声が聞こえた。恥ずかしそうに色白な頬を染めて急に目を反らされる。 「瑞希…」 「さ、さっき!ひ、博美さん?に何処でエッチな事するか聞いて!それで……えっともしかしてだけど、遼一のコレを俺の尻に…?」 「そうだけど…怖いよね?」 「怖いけど……遼一にしか触られたくないから、、、がんばる!」  その言葉をきっかけにして、瑞希の唇に自分のを重ねていった。怖がらせたくはないけれど、瑞希と繋がりたい。

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