33 / 43

*

 -−−鈴木遼一side−−-  すやすや穏やかに眠る瑞希の横顔を見ている穏やかな朝。  そんな穏やかな朝の時間を遮る俺の腹の虫の音。  夕飯、食べずに瑞希に伸し掛かっちまったからな〜、腹減った。でもなぁ、隣でこんなに穏やかに眠る瑞希起こすのは勿体無い。    癖のない前髪をサラッとどかしてみる。幼い顔。  瑞希、今までも俺の隣でこんな顔して寝てたんだろうか。で、俺より先に起きて朝食の準備してたんだ。今まで瑞希の寝顔を見逃していたってことに気づいて残念になる。今までの俺何やってたんだよ。悠長に寝てんじゃねぇよ。こんな可愛い姿見逃してたって罪だろ。  ん?今俺が瑞希のこの顔を見られてるってことは、瑞希に毎朝眠ってる俺の顔見られてたってこか!意識し始めると何もかもが恥ずかしく、新鮮だ。  昨日、一緒に欲を出した後、そのまま瑞希はパタっと眠ってしまった。その後に進むのはまだ早いと思ってたから眠ってくれて良かった。起きてあのままだったら俺の理性が保ったかどうか。 「ん〜〜〜〜。んん」  起き出すのだろうか隣の瑞希が目は瞑っているものの、声を出しながら盛大に伸びをしている。 「はぁ。よし」  急に上半身を起こした瑞希と目があった。  にこにこ、にこにこ、こんな音が聞こえてきそうなくらい満面の笑みでこちらを見つめてる。遼一、両思いだねの笑顔なのか。それとも、寝ぼけてるんだなきっと。 「瑞希、おはよー。朝から見つめてくれちゃって。誘ってる?」  笑顔だった瑞希の顔が、表情そのままにみるみる赤くなっていった。こりゃぁ、昨日の夜を思い出してるんだな。 「遼一おはよ……ごめん昨日俺寝ちゃったみたいだね……お尻使うって言ってたのに……それは出来なかった」 「いいんだよそれは焦るようなもんじゃない。俺は瑞希とこんな風な関係になれただけで十分過ぎるくらい幸せなんだ。そういう尻を使ったエッチな事はしなくても、昨日くらいで十分幸せなんだ」 「そうなんだね。実は俺もそれは怖いなと思ってたんだ。遼一がそう思ってくれてるなら良かった」  ぐぅぅぅ。 「大変!昨日二人とも夕飯食べてなかったね!作っておいた親子丼あるから、朝ごはんにしちゃおう」  瑞希の親子丼で、俺も腹の虫も満足してくれたようだった。  さて、幸せなのはいいことだけど、まだやらなくちゃならない事がある。

ともだちにシェアしよう!