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夜。先に帰ってた瑞希が用意してくれて夕飯を食べてから切り出した。
「瑞希。今度の土曜、俺と一緒に俺の実家に来てほしい」
食器の後片付けをしようとしてた瑞希だったけど、大事な話だと気づいて戻ってきてくれた。
「遼一の実家?」
「そう。親父に、瑞希と一緒に歩んでいきたいから、俺も借金の支払い受け持つ、それから、カタギの仕事に就きたいこともいう。なんの仕事が向いてるとか分からないけど、とりあえずこの世界から足を洗って、瑞希の隣に堂々と立てる人間になりたいんだ。ダメか?」
「そんな…足洗うってそんな……そんなの、嬉しいに決まってる!」
向かい合わせのテーブルに座って話を聞いてた瑞希が、勢いよく立ち上がってイスが倒れた。
倒れたイスはそのままに、俺に抱きついてきてくれた。
「遼一、いいの?環境を変えるって大変だよ?借金だって、遼一は払う必要が一ミリもない借金だよ?後悔しない?俺はその気持ちだけで正直嬉しいんだよ?」
自分で考えて決めたことだった。親父の思う通りに進んできた俺が、自分で、瑞希と自分のこれからを考えて出した結論だった。後悔はしない。
「今だけの、勢いだけで言ってるんじゃない。この先も瑞希といたいから、二人で歩いていきたいから、その為にはどうしたらいいかって考えて出した結論だ。瑞希となら頑張れると思う。瑞希は?瑞希はこんな俺だけど、一緒に歩いてくれるか?」
「正直、遼一がそこまで考えてくれてるなんて思ってなかった。こんな返事でいいかな……そのプロポーズ、お受け致します」
抱きついたまま、嬉しそうな照れた表情で俺の顔を覗き込んできた。やった、了承してもらえた。俺が言った内容がプロポーズみたいだって。先走って、プロポーズお受け致しますだって!
「あっ、遼一の吊り目が下がった!」
「笑うなよ。嬉しくてどんな顔していいか分かんねーんだよ」
「吊り目が下がると優しいお顔の遼一くん♪」
「コラ」
あんまり笑い転げてるから、煩い唇を引き寄せて塞いでやった。
笑いが漏れてこないように、ピッタリと隙間なく塞いで、瑞希の甘い舌でこれ以上ないほどに幸せな気分になれた。
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