11 / 18
第11話 やってみる
「俺がこんな風にしたんだから、責任はとらないとな。もっと気持ちよくなれよ」
倉田は親指で先端の敏感な部分を丸く円を描くように刺激しながら、茎の部分を扱き上げてくる。
榊原は倉田の身体にすっぽりと包み込まれながら、快感に悶えて身体を震わせ、ひっきりなしに喘ぎ声を上げた。
「もっもう……ダメっ……」
「何がダメなんだ」
「イッてしまう……」
「イけばいいじゃないか。そのためにしてるのに」
榊原は身体をねじって、倉田の身体に縋りつくようにキスを強請った。
倉田は榊原の頭を抱え、激しく唇と口内を貪りながら、片手は休むことなく扱き続ける。
胸を弄ばれてどこもかしこも敏感になった上に、舌をきつく吸われながら下半身を扱かれるとこんなにも気持ちがいいものか。
「あっああっ……もうイクっ……イクっ」
榊原は頭が真っ白になり、身体をびくびくさせながら達して、崩れ落ちるように倉田に抱きついた。
「気持ち良かったか」
倉田は抱きしめた榊原の背をなでながら、こめかみに優しくキスを落としてくる。
「なんで……こんなこと」
まだ息を切らせながら、榊原は恨みがましい目で倉田をにらむ。
「突っ込むだけがセックスじゃないって教えてやってるんだよ。こういうのもいいだろ? 相手が気持ち良くなれたらそれでいいんだから」
俺はいいけど……と榊原はふと倉田の下半身に目をやった。
倉田も欲情していたのか、そそり立ったままだ。
「だって倉田先生はまだ……」
榊原は倉田のそこに手をのばし、ゆるゆると扱いてみると、瞬く間にそれはさらに大きくなり反り返った。
倉田は動じる様子もなく黙って榊原のしたいようにさせている。
大きい……倉田に抱かれようと思ったらこんなモノを受け入れないといけないのか、と思わずひるむような気持ちになった。
「俺もしていいですか?」
「お前が……?」
目を丸くしている倉田に、俺にあそこまでやっておいて、なんで俺がやるのは驚くんだと言いたくなる。
「いいぞ、好きにしてみろ」
倉田は榊原と位置を入れ替わると、壁にもたれて目を閉じた。
「倉田先生も、ここ、感じますか?」
榊原はさっき自分がされたので、倉田の胸に触れてみる。
「そうだな……お前ほど敏感じゃないと思うが」
倉田は目を閉じたままニヤっと笑った。
両方の胸を指で弄んでみるが、倉田は思ったほど反応しないようだ。
榊原はちょっと考えると胸の突起に唇をあてて、吸い付いてみた。んっ、と倉田が反応する。
「気持ちいいですか?」
「ああ、気持ちいいな……」
倉田の素直な返事が嬉しくなり、榊原はさらに両方の胸を突起を舐めたり吸ったりしてみた。
舌を押し付けるようにころがすと、倉田の唇から甘いため息がもれ、息が少し荒くなっていく。
感じてくれている……榊原は初めての経験に夢中になった。
女だけだと思っていた胸への刺激が気持ちいいとさっき知ったばかりだ。
倉田も今同じように気持ちよくなってくれているのかと想像すると、興奮してくる。
胸にしゃぶりつきながら、下半身へ手をのばし、そっと握ると倉田は低く呻いた。
どんな風に弄ばれたら気持ちいいだろう、と想像しながらそれを扱いていると、その気持ちよさが自分のことのように感じられる。
同じ男同士なのだ。
自分がされたいことをすればいい。女より簡単じゃないか。
それなら、と榊原は自分にそんなことが出来るとは思ってもいなかったが、自分がされたいことをしてみることにした。
手で扱きながら倉田の股間に顔を伏せ、その先端をぺろっと舐めて口に含んでみる。
「んっ……楓……」
口に含みながらちら、と見上げると、倉田が驚いたような顔で見下ろしている。
楽しい。
いつも自分が子供扱いされているから、倉田を驚かせるのは楽しいのだ。
強めにしゃぶりついたり周囲を舐めたり、思いつく限りいろんなことを試してみる。
ひっかかりの部分をぐるりと舐めると、倉田は、うっと声を漏らし、天井を仰ぎ見るように身体をのけぞらせた。
「楓……俺はそこが弱いんだ。もっと……ああっ……そうだ……気持ちいい……」
倉田は余裕がなくなってきたのか、途切れ途切れに言葉を発しながら、榊原の頭をぎゅっと抱いたり髪をまさぐったりしてくる。
弱いと言ったその箇所にじっとりと舌を這わせると、ピクっと身体を震わせ、切ないため息を漏らす。
それが榊原には嬉しくてたまらない。
男がよがる姿なんて今まで想像できなかったが、こうやって見るとそれは扇情的で、咥えている方の榊原が夢中になっていた。
さっきは自分が乱れてしまったが、別に恥ずかしいことじゃないな、と思えた。
快感を表わすのは、むしろしてくれている相手に対しての思いやりだとさえ思える。
普段冷静で男らしい倉田が愛撫されて乱れている姿など、他の誰にも見せたくない、自分だけのものだと独占欲がムラムラとわいてきた。
ともだちにシェアしよう!