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 舌先で、先端を舐める。溢れた先走りの液を、拭うかのように。 「あっ、ん。……課長の、ペニス……おいしい、です」 「山吹、黙れ……っ。頼むから、そういう類の感想はやめてくれ……っ。刺激が強すぎて、すぐに出ちまう……ッ」 「いいですよ、出しちゃっても。顔にかけてもいいですし、喉の奥にビュビュッてしてくれてもいいんです。ボクのこと、好きにしてください。ねっ、課長っ?」 「やめろ、山吹……ッ」 「一度では物足りないようでしたら、どうぞ二度でも三度でも。ボクのこと、課長の精液で汚してください。……ホワイトクリスマス、ですね」 「山吹……ッ!」  さすがに冗談が過ぎた。耳が赤くなっているとしても、桃枝は少し不愉快そうだ。  遊ぶのは、この辺りでやめておこう。山吹は口を開き、これ以上失言をしてしまわないようにと、桃枝の逸物を使って強引に口を塞ぐ。 「ん、む……っ」  熱くて、大きい。強情な態度を取ってはいるが、やはり男なんて素直で手懐け易いものだ。心の中で、思わず嘲笑してしまいそうになる。  先端から溢れる蜜が、可笑しくて仕方ない。よほど気持ちがいいのか、それとも嬉しいのか……。プライドもメンツも不要だと言っていたくせに、愉快なものだ。 「やま、ぶき……ッ」 「んっ?」 「上目遣いで見るな、馬鹿。……可愛いんだよ、クソッ」  ご満悦、ということだろうか。試しにニコリと微笑んでみせると、露骨なほどの動揺が返ってきた。……相当、山吹の外見がお好きらしい。  しかし、ここまでくると妙な理性は捨ててほしいものだ。山吹は若干意地にも似た気持ちに突き動かされながら、口での奉仕を続ける。  濡れた音が、不穏極まりない山吹の部屋に響く。この部屋でこんな音を聴く日がくるなんて、考えたこともなかったのに。……不思議と、こうなるのが必然だったような気もしてくる。  妙な感傷に、思考を奪われかけた。そんな山吹を現実に引き戻したのは、他でもなく……。 「……好きだ、山吹」  この行為を、諦めて受け入れたのだろう。桃枝が甘い言葉と共に、動いたのだから。  大きな手で、頭を撫でられる。優しくしようと努めているその手に、山吹は恐怖を感じた。  怯えた山吹はすぐに逃げようとしたが、それでは口淫が続行できない。苦渋の末、山吹は撫でられることを受け入れるしかなかった。 「お前は、耳たぶも可愛いな」 「んっ!」 「……今、体が震えたな。お前は耳でも感じるのか?」 「ふぁ、ぁ……ッ」  耳たぶが、親指と人差し指に挟まれる。ゾクゾクと駆け巡る小さな快感に、山吹は体を震わせた。  それでも、口は止めない。山吹は桃枝の逸物を何度も口に出し入れし、快楽を与えようと舌を動かす。  先端から溢れる先走りの液を舐め取れば、桃枝の体がビクリと跳ねる。しかしすぐに、まるで仕返しかのように桃枝の指が山吹の耳の穴をなぞり始めた。 「あっ、ふぁ、ッ」 「クソ、可愛すぎだろ、お前……ッ。なんだよ、今の声……ッ」 「んっ、んっ!」 「耳の穴、好きなのか? ……唇、震えてるぞ?」  そんなところで感じた経験なんて、記憶にない。山吹は痛めつけられるようなセックスは経験していたが、好き好んで体のあちこちを他人に触らせるシュミがないのだから。  だが、今の山吹はどうだろう。フェラを続けたいと言う希望を除いても、逃げるような素振りがない。 「か、ちょ……っ。耳、もっと……っ」  思わず、唇を離してそんなおねだりをしてしまうくらいには。山吹は現状を、甘受したいと思ったのかもしれなかった。

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