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4 : 20 微*

 熱でもあるのかと、ほんの少しだけ心配になってしまう。それほど、桃枝の手は熱くなっていた。 「や、んっ。太腿を撫でる手つきがエッチですよ、課長?」 「そりゃ、そういう気分で触ってるんだ。やらしい手つきにだってなるだろ」 「あ、ちょっと……っ。内腿は、まだ……や、んっ」  一度乗ってしまえば、他は吹っ切れたらしい。桃枝の手つきは意外にも大胆で、山吹が望む前に先へと進んだ。  温かな手が、山吹の内腿を撫でる。強引なはずなのにどこか優しい手の平に、山吹は小さく震えてしまう。 「だ、めです……っ。勃っちゃいます、からぁ……っ」 「内腿を手の平で撫でただけなのにか? 敏感なんだな」 「課長の手が、大きくて、ゴツゴツしてるから……っ。変な気分に、なっちゃいます……っ」 「そうかよ。俺はお前のおかげで、とっくに変な気分だがな」 「ん、あっ!」  下着越しに、逸物が撫でられる。まさか一気にそこまで触られるとは思っておらず、さすがの山吹も甘い声を漏らしてしまった。  どこまでも、ソフトタッチ。かえってそれがこそばゆく、山吹の体は熱を持ってしまった。 「濡れてるな。この、ヘンタイ」 「ん、ぅ。ゾクゾク、しちゃいます……っ。もっと、罵ってください……っ」 「っ! い、今のは罵ったわけじゃ……っ!」  だが、桃枝はどこまでいっても桃枝だ。山吹の発言を聞き思うところがあったのか、桃枝はハッとした様子ですぐに手を離してしまった。  中途半端に熱を帯びた山吹は、ぷくっと頬を膨らませる。 「どうしてやめちゃうんですか。ボク、悦んでいましたのに」 「いや、今のは俺が悪かった……っ。いきなり、おかしなところを触って……っ」 「だから、それが嬉しかったんですってば」  チラリと、山吹は視線を下げた。そのまますぐに、ニヤリと口角を上げる。 「ボクに触っただけで、コーフンしてくれたんですね。嬉しいです」 「ッ! 馬鹿、見るな……ッ!」  山吹が見つめているのは、桃枝の股間だ。すぐに桃枝は手を伸ばし、山吹の視界を覆った。  人の逸物は許可も取らずに触っておいて、自分が見られるのはなぜ駄目なのか。半端に残っている桃枝の理性が可笑しくて、山吹は笑ってしまう。 「ねぇ、課長。……カワイイナースに、お注射。したくないですか?」 「──お前そんな言葉どこで覚えたんだよッ!」 「──実地で、ですかね?」  視界を覆っていた手が離れると同時に、山吹は動く。桃枝の下半身に手を伸ばし、ある一部分を撫でるために。 「ほら、もうパンパンじゃないですか。このまま放置するのは体に悪いですよ? 健康的ではありませんよね? 課長は患者さんなんですから、体に悪いことはしちゃダメですよ?」 「やめろ、卑猥な雰囲気を作るな。……そもそも、なんで患者がナースに注射するんだよ」 「あははっ、ステキなツッコミですねっ! じゃあ、課長が納得しそうな返しとして、そうだなぁ。……『予防接種』なんてどうですか?」 「この状況に対しては最高の返しだが、中身が結局は最低だな」 「そう言いながら、ココ。どんどん大きくなってますよ、課長?」  手を払われはしないが、目も合わない。桃枝はフイッと顔を背け、しかし山吹に下半身を撫でられたまま、ポソポソと反論をする。 「──惚れた相手のそんな恰好見せられたら、誰だってこうなるだろ、阿呆が……ッ」  ……あまり【反論】らしくはなかったが。

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