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 箱から、コンドームを取り出す。もう何度もした動作だ。今さら、山吹には感慨もなにもない。  それでも、同じベッドに座る桃枝は動揺していた。山吹の方を一切見ようとせず、ただただ顔を背けている。  新鮮で、不思議な心地。山吹はすぐに桃枝と距離を詰め、下穿きに触れた。 「課長、脱いでください。じゃないと、セックスができません」 「本気でするつもりなのか? 一応、俺は病み上がりなんだが」 「それって……ボクの心配をしてくれているんですよね」 「当たり前だろ。他になにを気にすることがあるんだよ」  相変わらず、分かりづらい。今の言い方では誰が聞いても『保身』だと思うだろう。 「もう今さらじゃないですか。これだけ近くにいて、なんなら食事だって一緒にしたんです。菌がボクの体内に入るなら、とっくに入っていますよ」 「それは、確かにそうなんだが……ッ」 「じゃあ課長は、病み上がりらしく寝そべっていてください」 「はっ? なに言っ──うわっ!」  予想外に、力強く。山吹の両手が、桃枝をベッドに押し倒した。 「はい、腰を浮かせてください。さすがのボクでも力任せにズボンは下げられませんから」 「待て山吹! これはさすがに──」 「待ちません。課長が腰を浮かしてくれないのでしたら、ハサミでズボンを切り裂きますよ?」 「可愛い顔しておぞましいことを言うな……ッ!」  流れるように褒められて、気分がいい。状況に似つかわしくないと理解していながら、山吹はニコリとあざとく笑った。  それでも、山吹は桃枝を逃がすつもりがない。どこか圧のある笑みを向けられて観念したのか、桃枝はそっと、腰を浮かせた。  すぐに山吹は桃枝が穿くズボンを下げ、下着を晒す。隙間から逸物を取り出せば、後は慣れたものだ。 「こうして、上に乗られる妄想はしましたか?」  隆起した桃枝の逸物を指先で撫でた後、山吹はコンドームを開封する。 「やま、ぶき……っ」  呻いたところで、山吹は止まらない。手早くコンドームを付けると、山吹は腰の辺りで結ばれた下着の紐を解いた。 「課長のペニスを、ボクが自分から欲しがって……ん、っ。こうして、ゆっくりとお尻の穴で咥え込んでいく姿。……どう、です? 妄想より、ずっといいでしょう?」  マンションを訪ねる前に、後ろは準備済みだ。山吹は少しの抵抗を示しつつも、桃枝の硬く反り立った逸物を後孔に挿入し始めた。 「あ、ぁん……っ。気持ち、いぃ……っ」  ゆっくりと腰を落とし、根元まで咥え込む。桃枝の熱く隆起した劣情をしっかりと後孔で味わいながら、山吹は色っぽい吐息を漏らした。 「随分、すんなりと咥え込んだな……っ」 「だって、課長とセックスするために準備、してましたから……っ。そうじゃなきゃ、こんな恰好しないでしょう……っ?」  ゆっくりと腰を上げて、落として……。桃枝にも伝わるように『丁寧に味わっています』とアピールをしながら、山吹は桃枝とのセックスを楽しみ始めた。  愛する男が、自ら跨り、自分を求めている。煽情的な構図をまざまざと見せつけられて、桃枝の表情が軟化するはずもなく……。 「こ、れは。……なかなか、そそられる……ッ」 「んっ、ふふっ。どうです、絶景ですか?」 「熱がぶり返しそうなほどだ、クソッタレ……ッ!」 「熱くするのは下半身だけにしてくださいね、課長?」  窘めるのと同時に、逸物を締め付ける。そうするとますます、桃枝の表情が強張った。

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