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 求めれば求めた分だけ、桃枝は山吹を甘やかしてくれた。  桃枝の言葉が事実であるのならば、桃枝は山吹を裏切らない。その言葉を素直に信じられるほど山吹は純粋ではないが、それでも僅かに願う。  事実であってほしい。事実ならいいのに。……と。  満たされていく感覚に酔い痴れながら、山吹の思考に邪な感情が横入りする。 「はっ、ぁ。……んっ」  快楽に溺れた山吹はほぼ無意識のうちに、桃枝の体に下半身を擦り付け始めたのだ。  モゾモゾと動く山吹に違和感を抱いた桃枝は、なにをしているのかと考え始めたのだろう。気付くと同時に、山吹のサイン発端ではない理由で顔を離したのだから。 「この、エロガキ……ッ。なに、してるんだよ……ッ」 「だって、気持ち良くて……っ。エッチが、ダメでも……触り合いなら、良くないですか?」  いいわけがない。すぐさま、桃枝はそう反論すべきだった。  桃枝が動揺をした、僅かな隙を衝いて。山吹は毛布をどけて、寝間着のズボンを下げたのだから。 「苦しいです、課長。課長がボクのココを、こうしたんですよ? だから、責任取って治してください……っ」  わざと、拗ねたような顔をする。もっともらしい理由を付け加えながらもさり気なく責任転嫁をし、桃枝を追い詰めた。実に、山吹らしいやり方だ。  対する桃枝は、やはり動揺していた。山吹の誘惑と、堪らず見てしまった山吹の下着。鼓膜と視界により刺激された煩悩が、またしても天使と悪魔の戦いを開幕させたのだから。 「お前って、奴は。……かなり、我が儘だよな。あぁ言えばこう言うし、本気で、かなり手のかかる我が儘だ」  しばらくの時間を使った桃枝からの反応は、まさかのため息だった。  まさか、呆れられたのか。はしたないと落胆され、見限られたのかもしれない。  それは嫌だ、悲しい、と。山吹はすぐさま、泣き出しそうな顔をしてしまい──。 「──けど、甘やかしちまうんだよな」 「──あ、っ!」  短く、甘い悲鳴を上げた。  下着越しに、逸物が握られる。突然の快感に、山吹は想定していなかった大きな声を出してしまう。 「挿入は絶対にしないからな。扱くだけだぞ」 「あっ、ん……っ!」  大きな手が、山吹の逸物を撫でている。官能的な状況に、山吹の体は風邪由来ではない熱を持ち始めた。 「課長、お願いです……っ。乳首も、つねってほしい、です。挿入じゃないから、ただのおさわりだから……いいですよ、ね?」 「お前なぁ……ッ。あんま、誘惑すんなっつの。我慢してんのはお前だけじゃねぇんだからな」 「はっ、ぁん、っ!」  またしても、大きな喘ぎが出てしまう。桃枝に、シャツの上から乳首をつねられたからだ。  山吹は、乳首が弱い。学習をしてしまった桃枝は、喘ぐ山吹を気にかけつつも、乳首への愛撫を続ける。 「気持ちいい、ですっ。課長、かちょぉ……っ」 「そそる声を出すんじゃねぇよ、馬鹿ガキ……ッ」 「課長のも、ボクのに擦りつけてください……っ。課長と二人で、気持ち良くなりたいです……っ」 「だからお前は、さっきから……ッ」  徐々にエスカレートしていく要求に、桃枝の理性は崩壊寸前だ。  それでも、山吹は悪魔の囁きをやめない。もう一度『挿入じゃないからセーフです』といった主旨のおねだりをすると、桃枝は観念するしかなかった。

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