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 一人で何度も達してしまい、さすがに感情は羞恥の色が強くなってしまう。真っ赤な顔を、山吹は隠そうとした。  しかし、先手を打ったのは桃枝だ。 「さすがにそろそろ、限界だ。お前のナカに出したい」 「っ!」  熱く求められて、単純な山吹は喜んでしまう。顔を隠すなんて無粋なこと、したくなくなるほどに。  桃枝も、感じてくれている。山吹の体に欲情し、あまつさえ中出しを所望してくれた。素直な欲求を向けられて、山吹は舞い上がってしまった。 「コンドーム、外してもいいです。だから、ボクもナカに課長の──」 「いや、外しはしねぇよ。お前の体に負担がかかる」 「えっ」 「なんで身を案じて泣かれなきゃならねぇんだよ」  残念だ、至極残念だ。山吹はしょんぼりと眉尻を下げる。  それでも、桃枝が欲情してくれているのは事実。すぐに気を取り直し、山吹は桃枝を見上げた。 「じゃあ今日は、中出しを諦めます。コンドーム越しで我慢しますから、その代わりに一番奥に出してください」 「言われなくてもそのつもりだ」  桃枝の返事に、またしても胸が締め付けられる。  素直に感情を吐露しただけで、こんなにも心持ちが変わるなんて。意地を張り、現実から目を背けていた自分が情けない。 「少し、激しくするぞ。つらかったら言えよ」 「分かりました。激しいの、好きです」 「本当に分かってるのか、お前」  他のところばかり攻められ、それはそれで律儀に感じてしまっていたのだが。山吹はずっと、後孔に突き挿れられていた逸物にも攻められたかった。  体が揺さぶられ、桃枝からの律動に甘い吐息が漏れる。何度も射精したはずの山吹の逸物は、またもや硬度を増させてしまう。  声が漏れ、媚びるように桃枝の逸物を締め付けて。待ち望んでいた性交に隠すことなく悦びを表し続ける山吹を見て、桃枝は突然なぜか、口を開閉させ始めた。  なにかを言いたそうで、言いづらそうで。桃枝の異変に気付いた山吹は、吐息交じりに訊ねた。 「か、ちょう? どうし、ました……っ?」 「いや、その……。……なぁ、山吹」 「ん、っ。……なん、ですか?」 「俺のこと、好きか?」 「……。……えっ?」  訊ねられて、今さらながらに気付く。  確かに山吹はまだ、桃枝に気持ちを伝えていなかった。桃枝の愛を信じ、桃枝からの愛を欲しはしたが……その先を。その理由をまだ、山吹は告げていないのだ。  ならば、答えは決まっている。山吹は桃枝を見つめ、息を整えてから……。 「ボクは、課長のことが……っ」  続く言葉は、たった四文字。たったの四文字で、桃枝に気持ちが伝えられる。  そんなこと、誰に説明されなくたって分かっていた。知っていて、理解していて……だからこそ。 「──まだ、ダメ……っ。恥ずかしくて、言えない……です、っ」  山吹は、赤面してしまった。自分が紡ごうとしたたったの四文字ぽっちが持つ意味を、誰よりも山吹は強く知っていたから。  両手で、赤くなった顔を隠す。羞恥心でどうにかなりそうな山吹は、瞳に涙を溜めてしまう。  そんな山吹を食い入るように見つめていた桃枝は、無言を貫いていたのだが……。 「ク、ソ……ッ! お前、本気で……あぁ、クソッ! 可愛すぎる……ッ!」  やがて、理性が決壊した。  桃枝は突然、山吹の脚を掴む。そのままより深い抽挿をすべく、山吹の体を強引に突き始めたのだ。 「あっ、なんでっ。課長の、大きくなって──んッ、あっ! だめっ、激しっ、んんッ!」 「俺がクソ野郎だったらお前、今頃本気で中出しされてたからな……ッ! 欠片程度に残った理性に感謝しろよ……ッ!」 「ぁあ、んっ! やっ、熱いぃ……っ!」  望み通り、山吹の奥深いところで桃枝が精を吐き出す。コンドーム越しにも伝わるその熱に、山吹はうっとりとした声を漏らしてしまった。  桃枝がケダモノのような動きをした理由は、イマイチ分からない。だが山吹は、思わず考えてしまった。  いっそ、理性なんて全て捨ててくれたらよかったのに。……と。

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