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 乳首が性感帯だと自分でも言っていた通り、山吹は乳首への愛撫にご満悦な様子だ。 「大きい手が、好きです。指先が冷えていても、その冷たさがボクの体温で温まって、冷たさを感じなくなっていくのが好き、です」 「そうか。確かに、お前の体は熱いな」 「はっ、う、っ。気持ち、いぃ……っ」  山吹は、素直に甘えることがなかなかできない。今でこそ甘えてくれる頻度は上がったが、どこか遠慮のようなものが見える。  だから、桃枝は素直に甘えてくれた分だけ【ご褒美】を渡すことにした。山吹が『好き』と言ったことを、主張のお礼に沢山施す。  桃枝は片手を広げて、親指と小指で山吹の乳首をクリクリと刺激した。 「ボクの乳首っ、片手を広げて両側を弄っちゃ……だ、めぇ」  すると山吹は、蕩けた瞳を嬉しそうに細めている。……おそらく、今の『駄目』は『駄目じゃない駄目』だろう。今のは、分かり易い。  どうやら、片手で両側の乳首を弄られるのが気に入ったらしい。挿入した逸物が、強く締め付けられているのだから。  親指と小指の腹で、ピンと立つ山吹の乳首を圧し潰すように撫でる。 「やぁ、あっ。それっ、恥ずかしいのに気持ち良くて、イッちゃいそぅ、です……っ!」 「みたいだな。締め付けが増した」 「んんっ、ぅあっ。乳首くりくりしたまま、奥突いちゃだめ、です……っ」  今の『駄目』も、おそらく駄目ではない。山吹の両脚が、桃枝の腰に回されたからだ。これも、分かり易い。 「あぁ、はっ、あんっ! も、イくっ、イッちゃう、や、ぁあ、ッ」  相変わらず、下半身にくる喘ぎ声だ。桃枝は眉を寄せながら、それでも山吹を攻める動きを止めなかった。  ……そう言えば、と。不意に桃枝は、食事中に山吹からされたことを思い出した。  余裕そうに笑い、煽るような言葉をあえて遣ってきた山吹を回想し……。 「──駄目だ、緋花。俺が『いい』って言うまで、射精するな」 「──っ!」  桃枝は、あえて【仕返し】を選んでみた。  先ほどのフェラが、山吹にとっては仕返しに思えただろう。だが桃枝は、山吹が『駄目』と言ったからやめただけだ。あれは、仕返しではない。むしろ善意だ。  ゆえに、今度こそ明確に『仕返しをするぞ』という意思を込めてみる。乳首を弄ったまま、桃枝は山吹を観察し始めた。 「やぁ、あっ。むりです、やっ、だめ……っ! ボク、おかしくなっちゃうっ」 「駄目だ。まだ、待て」 「んあっ、はぁ、あ……ッ!」  懇願する山吹の奥を、何度も突く。きっと、山吹にとっては大きな快感を与えられていることだろう。  それでも山吹は、必死に射精を堪えていた。桃枝に『待て』と言われ、きちんと絶頂を待っているのだ。 「イかせてっ、イかせてください、白菊さん……っ。お願い、許してくださいぃ……っ」  気を抜けばすぐに達するだろうに、山吹は律儀に【待て】をしている。  今の山吹を見ていると、どうしてだろう。僅かな罪悪感と、それを上回る【初めての感情】が、桃枝の胸に芽生えていく。 「イキたいなら、もっと上手に俺から許可を取ってみろよ。……できるよな、緋花?」 「んんぅ、っ!」  もっと、山吹を追い詰めたい。従順な山吹の頭の中を、もっともっと桃枝でいっぱいにしたい、と。桃枝は自分の中にある妙なスイッチを見つけてしまったらしい。  ……しかし今、山吹は軽く達したような気が。 「白菊さんに、命令されるの……す、きぃ……っ」  どうやら、桃枝に支配されるのがお気に召したらしい。瞳にハートマークを描きそうなほど蕩けきった表情で、山吹は嬉しそうに本音を吐露した。

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