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 堪えきれない愛おしさを散々抱き締めた後、山吹の要望通り、桃枝は山吹の体を反転させた。 「あんなに、裸を──胸を見られるのがイヤだった、のに。白菊さんに見られるのは、平気になっちゃいました」 「そうか。喜ばしい話だな」 「白菊さんが『見たい』と思ってくれるなら、いくらでも見られて平気です。……見てほしい、とか。そう思っちゃったりも、しちゃったり……っ」 「そ、そうか。喜ばしい話、だな」  危ない。またしても、山吹の体を力任せに抱き締めるところだった。山吹の発言に動揺しながら、桃枝はなんとか堪える。  山吹の脚を掴み、腰を浮かせて。桃枝は山吹との距離を詰めて、顔を近付けた。 「挿れるぞ」 「……っ」 「ここでその反応は反則だろ」  初めて交わす行為かのように、山吹は恥じらう。これが桃枝を翻弄するための演技でもなければ作戦でもないのだから、困ったものだ。  後孔の入り口に、桃枝が逸物を擦り付ける。山吹はジッと、己の下半身を見つめていた。 「今までで一番、ドキドキしてしまっているかもしれません」 「だな。ここまで意識される日が来たってのは、なんとも感慨深い話だ」 「白菊さん……っ」  ぐ、と。後孔に、桃枝の劣情が突き挿れられる。山吹はすぐさま、桃枝の背に腕を回した。 「白菊さん、白菊さん……」  意味がなくとも、名前を呼んでしまう。甘えたがりの子供のように桃枝へ抱き着きながら、山吹は吐息を漏らす。  それでも、これは子供がする行為ではない。桃枝の逸物を根元まで受け止めながら、山吹は桃枝にしがみついた。 「好きです、白菊さん」  山吹が、頭を撫でてくる。抱いている側なのに撫でられるなんて、妙な気分だ。それでも『嬉しいかもしれない』と思ってしまう程度には、どうやら桃枝は山吹に躾けられたようだが。 「すごい締め付けだな。そんなに俺から誘われたのが嬉しいのか?」 「嬉しいに、決まってます。胸がずっと、ドキドキしちゃうくらい……」  山吹は桃枝の頭を撫でていた手を動かし、桃枝の手を握る。 「胸、触ってください。ドキドキ、伝わると思いますから」  導かれるまま、桃枝は山吹の平たい胸に手の平を当てた。  山吹が言う通り、胸の奥から鼓動が伝わる。手の平に届く響きに、桃枝は瞳を細めた。 「そうか。……俺も、嬉しく思う」 「あ、っ!」  桃枝は腰を引き、すぐに逸物を押し込むように距離を詰める。 「悪いな、緋花。お前はそんなつもりじゃなかったと思うんだが、ここを触るように言われたら、俺は『こっち』を可愛がりたくなる」 「やっ、乳首は──んっ、ん!」  くに、と。桃枝の指が、山吹の乳首をつまんだ。すぐに山吹は体を跳ねさせ、快感に悶える。 「誘ったのは俺だから、とまで硬くは考えちゃいねぇが。それでも、お前にとって『今までで一番だ』と思ってもらえるくらいには、気張りたいな」 「あっ、あ、んっ! 白菊、さんっ」  動きが、徐々に遠慮のないものとなっていく。その自覚がありながら、桃枝は手加減をしなかった。  そして、山吹も。 「もっと、シてくださいっ。白菊さん、白菊さん、っ」  桃枝に愛されていると強く実感できる今、この瞬間。  『イヤ』や『やだ』など、拒否をするような言葉は出てこなかった。

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