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番外編③ : 6

 食事を終え、今日は食器洗いも桃枝が買って出た。  山吹はその間に入浴を終え、そのタイミングで入れ替わるように、今度は桃枝が浴室へ向かう。  そうして、お互いに入浴を終えたその後のこと。 「今戻ったぞ──……って、お前はテーブルの上になにを置いているんだ!」 「あっ。おかえりなさい、白菊さんっ」  山吹が、イタズラをしていた。  テーブルの上には、桃枝が買ってきたコンドームの箱が置いてある。犯人は当然、山吹だ。  犯人こと山吹は、なぜか自信満々な表情で桃枝を見上げた。 「ふふふっ、実は……。白菊さんを動揺させつつ辱めようと思い、こうして待機していましたっ」 「可愛い顔でとんでもないこと言うな、お前」  笑う山吹に近付き、すぐに桃枝は山吹と同じくソファに腰掛ける。  それからすぐに、桃枝は山吹を自らの膝の間に座らせた。山吹は嬉しそうに笑いながら、すぐさま桃枝にもたれかかる。 「作戦成功ですね。白菊さんが釣れましたし、カワイイ動揺も見られました」 「可愛いのはお前だ」  近付いても、逃げない。触れても嫌がられないどころか、自ら触ってくれるようにもなった。これは、大いなる進歩だろう。桃枝は山吹の華奢な体に腕を回しつつ、感慨に耽る。  しかし山吹は、桃枝にもたれかかりながら全く別のことを考えていた。 「それにしても……ボクたちって同じ食生活を始めてそこそこ経ちますけど、体格差はあまり変わらないですね」  どうやら、背後に感じる桃枝の体の厚みを堪能しているらしい。  確かに、桃枝は山吹と同じもの──山吹の手料理を毎日食べている。それなのに埋まらない体格差が、二人の間にはしっかりとあった。  桃枝と同じく、背が高くて立派な体格の山吹か。……想像して、桃枝の瞳から光が失われた。 「……。……そう、だな」  そもそも食事の量が違うし、なによりも桃枝はひっそりと筋トレをしている。同じ献立だとしても、これでは差なんて縮まらないだろう。  あと、差が縮まっても困る。どんな山吹も愛するのは余裕だが、可能であれば今の可愛さを堪能したい。筋骨隆々な山吹は、求めていない。  細くて、華奢で、薄い体。……加えて、感度も良好。  徐々に邪な思考を抱き始めながら、桃枝は山吹の体を服の上からまさぐり始めた。  桃枝の内情を知らなくても、山吹はピクリと体を震わせる。桃枝の手つきに、思うところがあるのだ。 「や、っ。白菊さんの手つき、エッチです」 「そういう気持ちでお前に触れているからな。当然だろう」 「えっ? それ、って……」  なにかに気付いたのか、山吹は桃枝を見上げる。  しかしそれを見計らっていたかのように、桃枝は山吹にキスをした。  顔が赤らみ、なにを言えるでもなく口をはくはくと震わせている山吹を見て、桃枝は瞳を細める。 「──シたい。……いいか?」  これもある意味で【変化】なのだが……実は五回に一度ほどの割合で、桃枝から行為を誘うようになった。  ……しかし今朝、山吹から『今晩使うコンドームを』と言われたが、あれは【山吹から誘われた】と認識していいのかどうか。  だが今は、そんなことを気にしている場合ではない。腕の中で顔を真っ赤にしている山吹を愛でる方が遥かに有意義で重要なのだから。

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