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番外編③ : 7 *
山吹は顔を赤らめたまま、背後に座る桃枝を見上げた。
「ボクが断るはず、ないじゃないですか」
「そうだな。それでも、お前の口から明確な許可は受けておきたい」
「と言いながらボクの服のボタンを外さないでくださいよ。まったくもう」
着実に服を脱がしていきながら、桃枝は山吹の頬や首にキスをする。
上半身を裸に剥かれた山吹は、やはり顔が赤い。桃枝の手が素肌を這っているのだから、当然と言えば当然だが。
「緋花、俺の望みを許してくれるか?」
「あ、っ。んっ」
「返事が欲しい。……いいか?」
乳首をつまみながら、いったいなにを。山吹の調子がいつも通りなら、そのくらいの反論はあっただろう。
だが、今の山吹は……。
「──ゆるし、ます。許しますから、白菊さん……っ」
桃枝の言動によって、すっかりその気だ。
恥ずかしがる山吹を見て『絶景だな』などと感動しつつ、桃枝は山吹の乳首をこねる。
「寝室まで我慢できそうにないんだが、ここでシてもいいのか」
「は、い。お互いお風呂は済ませましたし、それに……テーブルの上に、コンドームがありますから」
なんだか、誘導されたような気分だ。
しかし以前、桃枝は気付いた。自分は存外、振り回されたいタイプなのだと。
だから、ここまでのストーリーが山吹の想定通りだとしても構わなかった。そんな打算まみれなところも可愛いのだから、それでいい。
「んぅ、ん、っ! 乳首、気持ちいい……っ」
赤く、存在をツンと主張している突起。乳首を触られ続け、山吹は素直な感想を口にした。
「つねられるのも、爪でカリカリされるのも、くにくにってこねられるのも……全部、気持ちいいです、っ」
「そうか。なによりだ」
素直だ、興奮する。桃枝は真顔のまま、内心で酷く大歓喜した。
「あん、んっ。白菊さん、舐めて……っ。ボクの敏感な乳首、舌でも可愛がってほしいですっ」
求められたのならば、応じる。山吹の体を抱きかかえて、桃枝は山吹の体を自らの方に向かせた。
それから、触ってほしそうに勃起している乳首に顔を近付ける。桃枝はなにを言うでもなく、山吹の乳首にしゃぶりついた。
「ひあっ! あっ、ぁんっ!」
指で触っていた時もそうだが、口に含むとより一層大きな反応が返ってくる。実に、煽情的だ。
舌で転がし、わざと音を立てて吸い、歯を立てて……。桃枝は強弱や緩急をつけながら的確に、山吹が感じて仕方がない弄り方を始める。
そうしている間に、桃枝は山吹の後孔に手を滑らせた。
「ん、んっ! お尻に、指……っ」
触ると、山吹の後孔は思っていたよりも柔らかい。……おそらく、風呂場で準備をしたのだろう。はしたないが、そこが堪らない。
ある意味で、これも己の変化だ。交際を始めた頃は動揺ばかりしていたが、今では性に素直な山吹も『可愛い』と思えるのだから。
「早く、白菊さんの……っ」
「急かすな。お前を傷つけたくないんだよ」
「うぅ、早くぅ……」
「クソッ、可愛いなお前は」
だが、あまり可愛すぎるのも困りものだ。山吹の体を触りながら、桃枝はそんなことを考えた。
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