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4話

「んじゃあ? アイドルのコスプレでっていうのがいいんじゃない?」  どうやら諒馬の今のセリフで玲音は今日のテーマみたいなのを見つけたようだ。 確かに、それもアリなのかもしれない。 と諒馬は思ったのか、手をポンっ! と叩くと、 「じゃ、今日はそれでいいとしてー。 ま、これで、俺の方はネコにはならなくて済んだって事でいいかな?」 「えー? 何言ってんのー! 確かに、ヒントみたいなのを出してくれたのは諒馬君だけど、テーマはこれがいいんじゃない? って決めたのは僕なんだけどなぁ……って事は、今日、諒馬君はネコもありって事かな?」  その玲音の言葉に諒馬は両手で顔を押さえ込んでしまう。 本当に玲音といったら、ああ言ったらこう言うタイプだからだ。  仕事している時は本当にMっ気たっぷりな子だと思っていたのだが、たまに諒馬にだけはSっ気を見せて来るのだから。 要は玲音の場合はSな所もあればMな所もあるという所であろうか。 完全なMではないという事なのかもしれない。 「なら……衣装部屋に行って何かこうアイドルっぽい衣装でも見つけて来ようかなぁ? 僕って、女子っぽいし、どうせ、ネコなんだから、フリフリドレスのアイドルっていうのもいいのかもー! え? え? そういうのもアリだよねぇー? そんでもって、マネージャーさんと危ない恋しちゃう? それとも、事務所の社長さんとかに接待して売れるようにしてもらう話とかー? それとも、いきなりみんなアイドルの格好して、アイドル同士でー? あーん! どれも捨てがたいんですけどー! 更にどんな話にするかって、迷っちゃったじゃん!」  玲音は長々と独り言のような事を漏らすと、再び諒馬の方へと視線を向け、 「んじゃあ、これに答える事が出来たら、今日、諒馬君はネコ無しっていうのでいい?」  その玲音の言葉にまた半分脅されながらも、どうしても玲音に逆らえる事もなく、諒馬は頭を抱え、今玲音に言われた事を考えているようだ。  そして急に頭を上げ、 「じゃあ、どうせなら宣伝を兼ねて、みんなアイドルっていう事でいいんじゃないかな?」  急にいい事を思いついたかのように、ドヤ顔を玲音に向ける諒馬。 「んー! ま、いっか! 僕は諒馬君にそれを振ったんだもんねぇ。 んじゃあ、僕、京平にそれを伝えて来るねぇ。 でもって、衣装部屋で何か衣装探して来ようっと! 諒馬君も行くー?」  その玲音の振りに、一瞬どうしようかと悩んだ諒馬だったのだが、一人ソファで待ってるよりかは衣装を探しに行った方がいいとでも思ったのか、ソファから腰を上げると、 「じゃあ、一緒に行くー!」  と大きな返事をするのだ。

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