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6話

 本当に玲音というには諒馬にその衣装を着ろと推して来る。 だが、諒馬だってタチというプライドがある為か、流石にヒラヒラスカートは履きたくはないようで、何とかして断りたいようだ。 「だからさ、俺的には全然この衣装を着たく無い訳で……」 「うん! もう、その理由は知ってるよ! でも、いいんじゃない? って言ってるんだけどなぁ。 じゃあ、諒馬君だって分からなければいいのかな? カツラに化粧したらやってくれるー?」  その玲音の言葉に今にも諒馬の方はため息が出そうだ。  何だか玲音が言っている状態ではないのだから、単純に諒馬の場合にはタチとしてのプライドがあるから、その衣装を着たくないだけなのだから。  まぁ、玲音からしてみたら、諒馬とのこういうやりとりが楽しいのかもしれない。 ただただ諒馬とはこういう言葉のやり取りが出来るからこそ、玲音の方は楽しんでやっているのであろう。 いや、もしかしたら緊張を和らげる為に、諒馬とは仕事を始める前に遊んでいるだけなのかもしれない。 「んじゃあさ、試しにやらせてよー! 諒馬君にカツラ付けて、化粧するのー!」 「……へ?」  その玲音の意見に裏声を上げる諒馬。 「いいじゃん! いいじゃん! まだ時間掛かりそうだしさぁー」  そう言う玲音は本当に楽しそうだ。  そこには衣装も置いてあるのだが、当然メイク道具も置いてあって、それをも手にする玲音。 そして近くにあった椅子に諒馬の事を座らせ、玲音は本格的に諒馬のメイクを始めてしまう。  もうそこは仕方がないとでも諒馬は思ったのか、もう玲音にされるがままの状態でメイクされるのを待っていた。  しかし諒馬の中では人生初のメイクなのかもしれない。 いやもしかしたら高校生の文化祭の時にやったかもしれないのだが、そこはもう記憶に無いような出来事なのだからカウントに入ってないのかもしれないという事だ。  数十分後、諒馬へのメイクは終わったのか、最終的に諒馬にカツラを被せると、 「はい! 出来上がり! ねぇ、ねぇー、見て見てー! ほら、こんなに素敵な女性になったでしょー?」  そう言って玲音は諒馬に鏡を見せるのだ。  そこに映っている女性。 本当にこれが自分なのか? っていう位の美人さんが映っていたのだから。  諒馬は目を見開いたまま、玲音と鏡を見つめる。 「……へ? これが、俺!?」 「そうだよー! ね、美人さんでしょー?」  確かに、その鏡に映っている女性というのは諒馬自身だ。 まさか、メイク一つで自分がそこまで変われるとは思ってなかったのかもしれない。 「だから、言ったのにー! 諒馬君でも十分美人さんになれるんだってね。 ね、だから、今日は女装でアイドルやろうよー!」  と本題へと戻された感があるような気がするのは気のせいであろうか。

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