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(馬鹿だ…まあ、毒とかは入ってないみたいだが…) 呆れ顔の先輩。心の声が聞こえてきそうだ。 「ほら、なんともないっしょ?先輩も食べなよ。」 「…………」 オレが先に食べちゃった事で、少し安心したのか。 先輩も恐る恐る、口へと飴玉を運ぶ。 「美味し?」と問えば、複雑な表情のままだったが…そこは素直にこくんと頷いていた。 結局あの女の子は、何者だったのか? てかこの飴美味しいんだけど、なんだか不思議な味だな~とかぼんやり考え込んでいると──── 「え、芝…崎……?」 「ん~?」 目を丸くしてオレを見上げる先輩。 あれ?なんかいつもより、目線が少し遠いような… 「先輩、どしたの?」 開いた口もそのままに、茫然と立ち尽くす先輩に首を傾げると。 「かっ…格好良い…」 ギリギリ拾い上げた先輩の呟き。 途端に白い頬が、ぽっと桜色に染められた。 「へ…?」 状況が全く呑み込めず、何故かオレに魅とれてる先輩と…あたふたするオレ。 暫く愛しい人に放置プレイされた後。 先輩は我に返ると、衝撃の事実を突きつけた。 「…こっちへ来い。」 くいっとシャツを引かれ、洗面所の鏡の前に立たされると…先輩は、そこに映し出されたオレの姿を指し示す。 「あれっ?…え、ええっ…!?」 鏡の前には、確かに自分が立っていて。 写っている姿もオレ───…のハズなんだけど。 その姿は明らかに、17のオレとは違っていた。 パーツとか全体的には、オレそのものなんだけど。 髪がちょっとだけ長くなっていて。 骨格とか首周りなんかも、しっかりとして大人びたって言うか老けたって言うか… そう言えば声も少し渋くなったような? 大きめサイズのTシャツやジーンズだって、丁度良い具合に丈が短くなったような気がしてきた。 もしかしたら身長も190越えてるかもしれないな、コレ… 「お、オレっスか…コレ?」 信じがたいが、オレなのは確実な模様。 「どうやら…この飴が原因みたいだぞ。」 青い飴の入った瓶を、しげしげと観察しながら。 疲れたよう溜め息を吐いた先輩。 「ほら、青い飴を食べると10歳年を取ると書いてあるじゃないか…。」 そう言って、瓶にいつの間にか貼り付けてあったラベルをオレに見せつけた。 「じゃあオレは27歳に───…って、さっきはラベルなんて貼ってなかったッスよ!」 オロオロと慌てるオレに対し、呆れつつも頬を染めたまんまの先輩。 ───────ん?待てよ… オレはハッとして、急ぎ赤い飴玉の瓶を確認すると… やはりそこには、無かったハズのラベルがバッチリと貼ってあり────

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