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②
(馬鹿だ…まあ、毒とかは入ってないみたいだが…)
呆れ顔の先輩。心の声が聞こえてきそうだ。
「ほら、なんともないっしょ?先輩も食べなよ。」
「…………」
オレが先に食べちゃった事で、少し安心したのか。
先輩も恐る恐る、口へと飴玉を運ぶ。
「美味し?」と問えば、複雑な表情のままだったが…そこは素直にこくんと頷いていた。
結局あの女の子は、何者だったのか?
てかこの飴美味しいんだけど、なんだか不思議な味だな~とかぼんやり考え込んでいると────
「え、芝…崎……?」
「ん~?」
目を丸くしてオレを見上げる先輩。
あれ?なんかいつもより、目線が少し遠いような…
「先輩、どしたの?」
開いた口もそのままに、茫然と立ち尽くす先輩に首を傾げると。
「かっ…格好良い…」
ギリギリ拾い上げた先輩の呟き。
途端に白い頬が、ぽっと桜色に染められた。
「へ…?」
状況が全く呑み込めず、何故かオレに魅とれてる先輩と…あたふたするオレ。
暫く愛しい人に放置プレイされた後。
先輩は我に返ると、衝撃の事実を突きつけた。
「…こっちへ来い。」
くいっとシャツを引かれ、洗面所の鏡の前に立たされると…先輩は、そこに映し出されたオレの姿を指し示す。
「あれっ?…え、ええっ…!?」
鏡の前には、確かに自分が立っていて。
写っている姿もオレ───…のハズなんだけど。
その姿は明らかに、17歳のオレとは違っていた。
パーツとか全体的には、オレそのものなんだけど。
髪がちょっとだけ長くなっていて。
骨格とか首周りなんかも、しっかりとして大人びたって言うか老けたって言うか…
そう言えば声も少し渋くなったような?
大きめサイズのTシャツやジーンズだって、丁度良い具合に丈が短くなったような気がしてきた。
もしかしたら身長も190越えてるかもしれないな、コレ…
「お、オレっスか…コレ?」
信じがたいが、オレなのは確実な模様。
「どうやら…この飴が原因みたいだぞ。」
青い飴の入った瓶を、しげしげと観察しながら。
疲れたよう溜め息を吐いた先輩。
「ほら、青い飴を食べると10歳年を取ると書いてあるじゃないか…。」
そう言って、瓶にいつの間にか貼り付けてあったラベルをオレに見せつけた。
「じゃあオレは27歳に───…って、さっきはラベルなんて貼ってなかったッスよ!」
オロオロと慌てるオレに対し、呆れつつも頬を染めたまんまの先輩。
───────ん?待てよ…
オレはハッとして、急ぎ赤い飴玉の瓶を確認すると…
やはりそこには、無かったハズのラベルがバッチリと貼ってあり────
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