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③
『ミラクル・キャンディ★赤いキャンディは10歳若返るよ♪』
「やっぱり……ってコトは────」
確信して、先輩の顔を見合わせた瞬間。
「!?…せっ、先輩…!!」
目の前で、シュンッと縮んでいった先輩は。
「し…芝崎っ…」
隠れ美人から一転。
愛らしさ溢れる、ふわっふわのお人形さんみたいな…
8歳児へと変身してしまった。
「ま、マジっスか…」
思わず先輩の頭に手を添えてみた。
なでなで…
27歳のオレに、8歳の先輩。
その身長差は実に70㎝ほど。
年齢も親子並みに開いてしまった。
しかも今だけは、オレの方が年上…
改めて小さくなった先輩を、じっくりと観察してみる。
高3男子本来の面影を感じさせる瞳は、人形みたくクリクリと大きくて。幼い顔立ちでありながら、いつも通りの淡々とした表情がなんとも似つかわしくない感じだ。
困り顔で見上げられたら、サイズが合わなくなった眼鏡が何度もずり落ちてくるし。
淡いブルーのニットだって、緩く首周りが露出して…
白く柔らかそうな肌が、なんとも眩しいくらいだ。
しかも、発した声は少年そのもの。
変声期前の愛らしい響きそのままだったから。
(かっ…可愛すぎるうっ…!!)
いかん、いかんぞ…健太郎…
いくら恋人の先輩と言えど、今は子どもの姿だ。
それを27歳になってしまったオレが、んな邪 な眼で見たら。
それこそ犯罪者にしかならんではないか!
…しかし、男と言う生き物はこんな状況に陥っても欲に忠実で。
「先輩、あの~…お願いがあるんスけど…」
妙に大人びた声音で切り出せば、ぴくんと揺れる先輩の肩。
「なっ、なんだ…?」
口調は変わらず、なのに高音で返事する先輩に。
心中ムラムラと暴走し始める…野生の本能。
「わっ…!?」
両脇に手を忍ばせ、ひょいと持ち上げた先輩の軽いこと軽いこと。
そのまま抱き寄せ、顔を自分の前まで近づけると…
「…このまま、シたいです。」
「はあ…!!?」
いや、アウトなのは充分理解しております…
そりゃあ、8歳児の先輩相手に欲情とか…どうかしてるとは思うけど。
こんなチャンス逃したら、二度と有り得ない事だと。野生の勘が訴えているもんだから。
「ね?シよ…先輩。」
「ば、馬鹿かっ…お前は!無理に決まってるだろうっ…!!」
ジタバタと暴れたところで、子どもになった先輩の抵抗などたかがしれてるし。
そう言うの、逆にオレの興奮を掻き立てるんだよね…。
「オレもう無理っス…我慢出来ね────」
「やめっ…んンッ!!」
スイッチが入ったオレは有無を言わさず、
先輩の愛らしい唇を、自身の大きな口で塞いだ。
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