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④
「え、と………」
残されたふたりは上原のおかげで、微妙な空気に晒されてしまい。芝崎が思い切って口を開く。
「か、借りたはいいですケド…もうすぐ、授業始まっちゃいますよね…」
本音はもう少し、傍にいたかったけど。
芝崎は綾兎の真面目な性格を、良く理解していたから。
仕方なくそう切り出したのだが…
「ッ…!せん、ぱい…?」
離れようとした芝崎の制服を、ぎゅうっと握り締める綾兎に。トクリと胸が熱くなる。
「…まだ、10分くらいあるだろう…」
か細い声で告げ、珍しくも芝崎の胸に頭を埋めた綾兎に。一気に加速してく熱。
「もお…可愛いなぁ、先輩は…」
敵わないよと、耳にキスを降らせる芝崎に。
綾兎は擽ったそうに目を細め、頬を赤らめる。
「先輩…今日、泊まりに行ってい?」
泊まりは休日限定だって、解ってはいたけれど。
今だけは少し、ワガママにお強請りしてみたら…
「…勝手にしろ……」
ぶっきらぼうな台詞とは裏腹に、強く抱きついてくる恋人に。
「…ん…」
好きだよの言葉と共に、甘いキスで以て。その唇を塞いだ。
後5分、タイムリミットの鐘の音が聞こえるまで。
僅かでも貴方を感じていたいから…
その腕は離れることなく。
ふたつの影は、いつまでも繋げられていた。
───────後日。
「…で、なんでコイツがココにいんだよ?」
屋上にて、恋人の保に向かって愚痴を零す上原。
「あはは…」
保も現状に頭を抱え、苦笑するしかなく。
それと言うのも────
「昭仁センパイ!今度デートして下さい~!」
「あっ…!ちょ、ダメだよ~!!」
目の前で上原に抱き付く津田少年に、流石の保もオロオロと慌て出す。
「あの時センパイに言われて~、ビビっときたんですぅ!ボクと付き合って下さい!」
つい最近まで、芝崎が好きだと付き纏っていた人間が、何を今更…
津田の余りの変わりように、上原も段々と眉間を険しくさせて…
「だぁ~!!うっせぇ、離れろこのクソチビッ…!!」
「やだぁ~、怒った昭仁センパイも素敵ですぅ~!」
「うっ…上原君に抱き付いちゃダメ~!!」
………津田旋風は暫く続きそうです。
おしまい☆
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