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「え、と………」 残されたふたりは上原のおかげで、微妙な空気に晒されてしまい。芝崎が思い切って口を開く。 「か、借りたはいいですケド…もうすぐ、授業始まっちゃいますよね…」 本音はもう少し、傍にいたかったけど。 芝崎は綾兎の真面目な性格を、良く理解していたから。 仕方なくそう切り出したのだが… 「ッ…!せん、ぱい…?」 離れようとした芝崎の制服を、ぎゅうっと握り締める綾兎に。トクリと胸が熱くなる。 「…まだ、10分くらいあるだろう…」 か細い声で告げ、珍しくも芝崎の胸に頭を埋めた綾兎に。一気に加速してく熱。 「もお…可愛いなぁ、先輩は…」 敵わないよと、耳にキスを降らせる芝崎に。 綾兎は擽ったそうに目を細め、頬を赤らめる。 「先輩…今日、泊まりに行ってい?」 泊まりは休日限定だって、解ってはいたけれど。 今だけは少し、ワガママにお強請りしてみたら… 「…勝手にしろ……」 ぶっきらぼうな台詞とは裏腹に、強く抱きついてくる恋人に。 「…ん…」 好きだよの言葉と共に、甘いキスで以て。その唇を塞いだ。 後5分、タイムリミットの鐘の音が聞こえるまで。 僅かでも貴方を感じていたいから… その腕は離れることなく。 ふたつの影は、いつまでも繋げられていた。 ───────後日。 「…で、なんでコイツがココにいんだよ?」 屋上にて、恋人の保に向かって愚痴を零す上原。 「あはは…」 保も現状に頭を抱え、苦笑するしかなく。 それと言うのも──── 「昭仁センパイ!今度デートして下さい~!」 「あっ…!ちょ、ダメだよ~!!」 目の前で上原に抱き付く津田少年に、流石の保もオロオロと慌て出す。 「あの時センパイに言われて~、ビビっときたんですぅ!ボクと付き合って下さい!」 つい最近まで、芝崎が好きだと付き纏っていた人間が、何を今更… 津田の余りの変わりように、上原も段々と眉間を険しくさせて… 「だぁ~!!うっせぇ、離れろこのクソチビッ…!!」 「やだぁ~、怒った昭仁センパイも素敵ですぅ~!」 「うっ…上原君に抱き付いちゃダメ~!!」 ………津田旋風は暫く続きそうです。 おしまい☆

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