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side.Akihito 「…ん………」 「あ、起こしちゃったね…」 額にひやりとした感触があるのに気付き、 俺はゆっくりと目蓋を開けた。 眩しくも目の前には、 今まで見てた夢と同様に愛しい者の姿があって。 まだ俺寝てんだなと夢の中、再度目を閉じる。 そしたらまた、おでこに触れられる感じがして。 妙にリアルなその感触に、俺は無意識にも擦り寄っていた。 「熱まだ高いね…痛いとことか、ある?」 「んー…頭とカラダ全部…」 夢だからこそ、開き直って甘えてみたり。 そうすれば夢ん中の保が、よしよしと頭を撫でてくれる。 「そっか…あ、ごめんね。玄関空いてて反応無かったから、勝手に入って来ちゃったんだ。」 別にお前なら構わねーし…そう言うや否や、俺は保の腕を引く。 驚いた保はぼすんと俺の胸に収まって。 ぎゅうぎゅう抱き締めてたら、苦しそうにもがきだした。 ────────ん? 「…ってホンモノかよ!?」 バチっと目を見開き、目の前の保を凝視する。 したら視界も意識も徐々にクリアになってきて… 触れた感触や温もりが、夢ではなく現実のものなんだと。そこで初めて気付かされた。 「うん…?」 いきなり抱き締められ、照れ臭そうにはにかむ保は。不思議そうに首を傾げ、俺を見つめてくる。 その曇りなき眼が、まっすぐに俺を射抜くもんだから。なんだかいたたまれねぇ…。 「あ───…ワリィ、夢と勘違いしちまってよ…」 普段甘えるだとか、するような性格してねぇもんだから。 なんともバツが悪く、目を逸らせば… 保は一瞬目を丸くした後、くすりと楽しそうに笑ってみせる。 「ふふ…だからあんな可愛かったんだね。」 「ばっ…可愛いって、お前なぁ~…」 照れ隠しに眉間に皺寄せてると、保はまた頭を撫でてくる。 保に限った事なんだが、こういう甘えた感じも悪くねぇかもとか、思ってみたりして…。 さすがに顔には出さないまでも、されるがまま意識をその手に委ねた。 コイツの手、スゲェ気持ち良いのな…

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