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③
side.Akihito
「…ん………」
「あ、起こしちゃったね…」
額にひやりとした感触があるのに気付き、
俺はゆっくりと目蓋を開けた。
眩しくも目の前には、
今まで見てた夢と同様に愛しい者の姿があって。
まだ俺寝てんだなと夢の中、再度目を閉じる。
そしたらまた、おでこに触れられる感じがして。
妙にリアルなその感触に、俺は無意識にも擦り寄っていた。
「熱まだ高いね…痛いとことか、ある?」
「んー…頭とカラダ全部…」
夢だからこそ、開き直って甘えてみたり。
そうすれば夢ん中の保が、よしよしと頭を撫でてくれる。
「そっか…あ、ごめんね。玄関空いてて反応無かったから、勝手に入って来ちゃったんだ。」
別にお前なら構わねーし…そう言うや否や、俺は保の腕を引く。
驚いた保はぼすんと俺の胸に収まって。
ぎゅうぎゅう抱き締めてたら、苦しそうにもがきだした。
────────ん?
「…ってホンモノかよ!?」
バチっと目を見開き、目の前の保を凝視する。
したら視界も意識も徐々にクリアになってきて…
触れた感触や温もりが、夢ではなく現実のものなんだと。そこで初めて気付かされた。
「うん…?」
いきなり抱き締められ、照れ臭そうにはにかむ保は。不思議そうに首を傾げ、俺を見つめてくる。
その曇りなき眼が、まっすぐに俺を射抜くもんだから。なんだかいたたまれねぇ…。
「あ───…ワリィ、夢と勘違いしちまってよ…」
普段甘えるだとか、するような性格してねぇもんだから。
なんともバツが悪く、目を逸らせば…
保は一瞬目を丸くした後、くすりと楽しそうに笑ってみせる。
「ふふ…だからあんな可愛かったんだね。」
「ばっ…可愛いって、お前なぁ~…」
照れ隠しに眉間に皺寄せてると、保はまた頭を撫でてくる。
保に限った事なんだが、こういう甘えた感じも悪くねぇかもとか、思ってみたりして…。
さすがに顔には出さないまでも、されるがまま意識をその手に委ねた。
コイツの手、スゲェ気持ち良いのな…
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