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④
side.Akihito
「ん?てか…お前、学校は…」
「えっ、あ~…えっと────」
たまたま視界に入った時計は、まだ14時を少し過ぎたとこを差していて。
当然学校はまだ終わってねぇハズだよな、と問い質せば。保は悪戯がバレた子どもみたく、目を泳がせ口ごもってしまう。
「サボったのか…?」
聞けばうんと、申し訳なさそうに頷く保。
「たく…無理に来なくてもいいっつったろよ?」
そう口先では突き放すものの…
保がここにいる理由を解ってるもんだから。
自然と顔が、緩んじまうわけで。
しかも…
「だって、さっ…」
心配だったんだもん…と。唇を噛み締め、弱々しく答えた保に。
風邪からくるものとは別モンの…甘っちょろい熱が、一気に込み上げるてくるのを。犇々と、感じずにはいられなかった。
「と、とにかく…!上原君は病人なんだからっ、」
大人しく寝ててよと、誤魔化すよう告げながら。
保はいそいそと、俺から離れちまう。
すると俺の身体は途端に温もりを失い、妙に肌寒くなっちまった。
「そだ…僕ね、薬とりんごを買ってきたんだよ。」
話題を変え、買い物袋を示す保は台所を借りるからと告げ、さっさと部屋を出て行く。
そうして誰もいない事をいいことに、こっそりとニヤける俺。
保の手前、我慢してたけど。
ちょっと感慨に耽ったりもして…。
相変わらず身体は鉛みてぇに重かったし。こんな情けねぇ姿をアイツに晒すには、恋人としての抵抗もあったけど…
(悪くねぇな…)
アイツを嫁に貰ったら、毎日こんな感じだろうか?とか…つい可笑しなコトを考えちまうから。
どうやら今の俺は思いの外、熱でイカれちまってるみてぇだ。
「お待たせ~。」
暫くして、保がトレイを手に部屋へと戻ってきた。
ガラステーブルに置かれたそれには、水の入ったグラス。隣の皿には、器用に皮を剥いたりんごが盛られていた。
そのうち半分くらいウサギにしてるあたりが、なんだかコイツらしい。
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