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side.Akihito (…ん……) 薬が効いてきたのか…幾分、倦怠感や節々の痛みも抜け落ちてきたようで。 全身から吹き出る汗に、今度は暑苦しさを覚え。 俺の意識は微睡みの淵から、徐々に這い上がってく。 それでもまだ完全に目覚めるには至らず。 夢と現の真ん中辺りで、ウトウトしていたら… ふいに与えられる感触に、気がついた。 (…コレ、は……) 唇─────そうだ…今俺の唇にあるのは、同じ柔らかな温もり。 ふにゃりと押し当てられるだけのソレが。 遠慮がちながら何度も何度も…微かな吐息と共に降り立ってくるのが判る。 夢…なんかじゃねぇ。 風邪で寝込んでる俺に、今こんなコトをしてくるのは… 「…ん……」 バレないよう薄く目を開けると、目の前のコイツは律儀にも目を閉じていて。 見られてるとも知らず、頬を染めながら。 ちゅっちゅと可愛らしいキスを…俺へと施してくる。 (…マジかよ、保……) やられた…普段ならこんなコト、恥ずかしがってまずしてこねぇクセに。 人が寝てると思ったら、んな大それたコトしやがるだなんてな… あまりに珍しく、また可愛すぎるその行為を目の当たりにして。 俺は敢えて黙ったまんま、寝たフリを決め込むと。暫しその姿を堪能する事にした。 すると… 「……わわッ…!!」 キスの合間、僅かに目を開けた保とバッチリ視線が合わさってしまい。驚愕に弾かれ、離れようとした保。 俺は思わず、ニヤリと口角を上げる。 「なんだよ?今の…」 「ちがっ…ぁ……」 逃がすかとばかりに腕を掴み、顔を近付ける。 捕らえた視線は羞恥に駆られ、見る間に赤く涙目となり。困惑する保は、その瞳を気まずげに泳がせた。 「これはっ、そのっ…」 まるで叱られた子どもみてぇに、しゅんと項垂れる保。本気で俺に怒られると勘違いしてんのか、今にも泣き出しそうな勢いだ。 そんな態度に、ついそそられちまった俺は。 怯える保の頭を宥めるよう、くしゃりと優しく撫でてやった。

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