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side.Akihito 「怒んねーから、言ってみな…?」 宥めるよう髪を鋤いてやりながら、ふわりと笑ってみせる。 暫くすると保は、怖ず怖ずと俺を見上げてきて…。 重たげなその口を、ゆっくりと開いた。 「きっ…キス、したらさ…治るって言うでしょ…?」 「……はぁ?」 だからっ、と保は茹でダコみてぇな面して答える。 ベタな理由ながらも、まさかコイツがそんな迷信紛いのコトを、本気で実行してくるなんざ思いも寄らなず。 俺は驚くあまり、すぐには反応出来なかったんだが… 「お前、なぁ…んなコトしたって、ムダに風邪移るだけだろがよ…」 今時んな話を鵜呑みにするとか、少し考えれば判るハズなのに、たくっ…。 そう口では呆れつつ、内で浮かれてんのをただ誤魔化してるだけなんだが。 保はあくまで真剣だったみたいで… 「だって、学校来ても上原君いなくて…。メッセージも既読付かないし、電話も繋がんなかったからっ…」 “寂しかったんだもん…” 潤んだ瞳で凄む保は言い切った後、俺の汗で湿気ったシャツをギュッと握り締めてきた。 その手からコイツの想いが小さな振動となり、伝う。 「だからって…お前まで風邪引いちまったら、意味ねぇだろ?」 そしたら今度は俺が寂しいじゃねぇかよ…。 じっと見つめ合いながら、間近にある保の頬に触れると… 「いーよ…それで上原君が元気になってくれるなら…」 今日に限ってえらく頑固で可愛い、恋人の行動に絆されてしまった俺は… 堪えきれず、その顔を自ら引き寄せた。 「ンッ…はぁ……」 熱で少しフラつく意識を奮い立たせ、保の口内に舌を捻込む。 風邪が移るとか既に今更。 お構いなしに俺は本能に任せ、保の甘い唇を味わう。 「んぅ、あっ…」 息苦しさに名残惜しくも唇を離せば、うっとりと保に捕らえられ。赤く色付いた唇を繋げていた糸が、ぷつりと切れ…情欲を引き立てる。 「お前のカラダ、もう熱が移っちまったみてぇに熱いな…」 「あっ…」 低く唸り、ペロリと舌で保のぽってりした唇を舐め上げる。 そうすりゃ保は、過敏にビクビクと肩を揺らして。 首まで真っ赤に上気させながら、艶っぽい悲鳴を漏らした。 コレは、ヤベェな…

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