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⑳
side.Akihito
「…あんなコトまでしたのに、1日で治っちゃうなんて…」
掠れ声の保は俺を見上げ、恨めしそうにポツリと呟いた。
結局俺は、保との淫らな行為の後すぐに気を失っちまったようで。そっからは目覚める事もなく、朝まで爆睡してたらしく…
「まーな。基本病気するようなタマじゃねぇし?」
次の日にはご覧の通り。
今は佐藤家の自室ベッドに、身を委ねる保を労いながら。俺は苦笑を漏らした。
「それに…お前が献身的な看病、してくれたからなぁ。」
言って顔を寄せれば、保は真っ赤になって唇を尖らせる。そんな分かり易い反応を見せる保に、俺は触れるだけのキスを与えた。
更に火照る保の顔。
からかうと、ホント反応が可愛いくて止めらんねぇけど。
今はあんまし弄らない方が、良いかもしんねぇな…。
「うぅ…おかげでこのザマだよ…」
案の定、保に風邪を移してしまったようで。
放課後早々、見舞いに来ると。保はバツが悪そうに布団を被って隠れてしまったんだが。
まぁ流されたとは言え、病人相手にあんなコトした挙げ句。しっかり風邪を貰っちまった事を、気にしてんだろうけど。
アレは寧ろ、俺に責任があると思うんだがなぁ。
どうやら保は自己嫌悪してるようで。
布団から目の辺りだけを出しながら、情けない呻き声を漏らした。
「悪かったな…保…」
ああなると、男なんて単純だからよ?
すぐ様誘惑に負け、ズルズルとコトに及んじまったものの…罪悪感てのは後から生まれるワケで。
布団に隠れる保に、俺は反省を口に声を掛ける。
「べ、別に上原君は、悪くないでしょ…」
「いや~…ありゃどうみても俺が悪ィだろよ。」
保の弱味につけ込んだのは、確信犯だしなぁ…。
なのにコイツはそんな事ないだのと、頑なに首を縦に振ろうとしない。
それどころか…
「えっ…えっちな雰囲気に流されたのは…僕なんだし…」
…ってな事を口走り、真っ赤に潤んだ上目遣いを向けてくるんだから。
反則だろがよ…
「…なら─────」
言いながら保に近付き、顔半分まで覆う布団を捲り取る。
簡単にガードを失った保は、あっと短い声を上げて。何かを察したよう、途端にオロオロし始めた。
期待に応え、にっこり満面笑みで告げてやる。
「今度は俺が…看病、シてやろうか?」
「えっ…?」
こんな事を言う俺も相当悪だけど。
そんな俺よりも遥かに、コイツの方が質悪いと思う。
だって…
「な、に…する、の…?」
解ってるクセに。
それでも保は不安そうな表情の裏に、僅かにも期待をひた隠して問い返すもんだから。
俺の中の獣は、いつまで経っても眠れやしねぇんだ。
「ん~?とりあえずは、よ…」
熱でも計ってやろうか?…そう囁いて唇を塞ぐ。
そこはやっぱり甘くって、昨日と同じくらいに熱く…俺を簡単に溶かしていく。
「ンッ…は、あっ…む、ムリムリ…!」
嫌だ嫌だと言うけれど、
その目はちっとも俺の心を離してはくれない。
「心配すんな。お前はなんもシなくていーから。」
「そん、なっ…ああッ…!」
半分冗談、半分本気。
それもお前の反応次第。
「…で、どうして欲しい、保?」
「…ぁ………」
お前が望むなら、いつでも癒やして。
トコトン愛してやるから。
だから、
ホントのコト、言ってみな?
おしまい♥️
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