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side.Akihito 「…あんなコトまでしたのに、1日で治っちゃうなんて…」 掠れ声の保は俺を見上げ、恨めしそうにポツリと呟いた。 結局俺は、保との淫らな行為の後すぐに気を失っちまったようで。そっからは目覚める事もなく、朝まで爆睡してたらしく… 「まーな。基本病気するようなタマじゃねぇし?」 次の日にはご覧の通り。 今は佐藤家の自室ベッドに、身を委ねる保を労いながら。俺は苦笑を漏らした。 「それに…お前が献身的な看病、してくれたからなぁ。」 言って顔を寄せれば、保は真っ赤になって唇を尖らせる。そんな分かり易い反応を見せる保に、俺は触れるだけのキスを与えた。 更に火照る保の顔。 からかうと、ホント反応が可愛いくて止めらんねぇけど。 今はあんまし弄らない方が、良いかもしんねぇな…。 「うぅ…おかげでこのザマだよ…」 案の定、保に風邪を移してしまったようで。 放課後早々、見舞いに来ると。保はバツが悪そうに布団を被って隠れてしまったんだが。 まぁ流されたとは言え、病人相手にあんなコトした挙げ句。しっかり風邪を貰っちまった事を、気にしてんだろうけど。 アレは寧ろ、俺に責任があると思うんだがなぁ。 どうやら保は自己嫌悪してるようで。 布団から目の辺りだけを出しながら、情けない呻き声を漏らした。 「悪かったな…保…」 ああなると、男なんて単純だからよ? すぐ様誘惑に負け、ズルズルとコトに及んじまったものの…罪悪感てのは後から生まれるワケで。 布団に隠れる保に、俺は反省を口に声を掛ける。 「べ、別に上原君は、悪くないでしょ…」 「いや~…ありゃどうみても俺が悪ィだろよ。」 保の弱味につけ込んだのは、確信犯だしなぁ…。 なのにコイツはそんな事ないだのと、頑なに首を縦に振ろうとしない。 それどころか… 「えっ…えっちな雰囲気に流されたのは…僕なんだし…」 …ってな事を口走り、真っ赤に潤んだ上目遣いを向けてくるんだから。 反則だろがよ… 「…なら─────」 言いながら保に近付き、顔半分まで覆う布団を捲り取る。 簡単にガードを失った保は、あっと短い声を上げて。何かを察したよう、途端にオロオロし始めた。 期待に応え、にっこり満面笑みで告げてやる。 「今度は俺が…看病、シてやろうか?」 「えっ…?」 こんな事を言う俺も相当悪だけど。 そんな俺よりも遥かに、コイツの方が質悪いと思う。 だって… 「な、に…する、の…?」 解ってるクセに。 それでも保は不安そうな表情の裏に、僅かにも期待をひた隠して問い返すもんだから。 俺の中の獣は、いつまで経っても眠れやしねぇんだ。 「ん~?とりあえずは、よ…」 熱でも計ってやろうか?…そう囁いて唇を塞ぐ。 そこはやっぱり甘くって、昨日と同じくらいに熱く…俺を簡単に溶かしていく。 「ンッ…は、あっ…む、ムリムリ…!」 嫌だ嫌だと言うけれど、 その目はちっとも俺の心を離してはくれない。 「心配すんな。お前はなんもシなくていーから。」 「そん、なっ…ああッ…!」 半分冗談、半分本気。 それもお前の反応次第。 「…で、どうして欲しい、保?」 「…ぁ………」 お前が望むなら、いつでも癒やして。 トコトン愛してやるから。 だから、 ホントのコト、言ってみな? おしまい♥️

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