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エール2-1

 応援団に仮指名されたことを両親に伝えると、それはそれは喜んで、しっかり五時過ぎには叩き起こしてくれた。いつもならまだ寝ていたいとしばらくベッドに潜る密紀も、今日ばかりは飛び起きた。  待ち合わせの六時より少し前に公園の入り口で待つ。遊具に反射する朝日がオレンジ色に光っていてとても綺麗だ。まだ街が動き出す前の静かな時間。近所だというのに、まったく知らない場所の風景を見ているような気分だった。  ふと、耳にエンジン音が届いて、密紀が顔を上げる。なだらかな坂道になっている住宅街の道路にバイクが一台滑り込んでくる。  聖院学園のブレザーに黒のパーカーを羽織った長い足がバイクを停める。フルフェイスヘルメットのシールドを上げると、そこに微笑む千秋の目があった。 「おはよ、保科」 「お、お、お」  おおお!かっこいい!!!  という言葉を何とか飲み込んで、密紀はおはようございますと頭を下げた。

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