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エール2-3
「行くよ、つかまって」
「はい」
どこをどう掴めばいいのかよく分からなくて、とりあえず密紀は千秋の制服の脇をギュッと握った。千秋はシールドを下ろすと密紀の両手を取って、グッと前に引き寄せた。
「わっ」
勢いで密紀の身体が千秋の背中にぴったりくっつく。密紀が慌てているのが背中越しに伝わりながらも、千秋は密紀の両腕を自分の腹に回させる。
「ぎゅってして、保科」
ヘルメット越しの千秋の声がとても甘く聞こえて、密紀の頬はもっと赤く熱くなる。
「…は、はい」
ヘルメットしててよかったと思いながらも、この爆音で響く心音は、背中越しに千秋に伝わっているんじゃないかと少し焦る。
千秋の貸してくれたパーカーと、今抱きついている背中と、ヘルメットをしていても、千秋の匂いが伝わってくるようで、恥ずかしいのに、とても幸福も感じる。
密紀は勇気を出して、腕にギュッと力をこめる。千秋がその腕をぽんぽんと優しく叩いて、バイクは発進した。
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