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エール2-5
やはり『特別』なのだ応援団は。密紀は気を引き締めるようにきゅっと唇を結んだ。
その結んだ唇は一時間後に大きく開けられていた。
ぜいぜいと鳴る喉、仰向けにひっくり返ったまま肩を大きく上下させている。
まさかのグランド十周!
運動が苦手でなくても結構キツイと思う。なのに併走していた千秋は最後は歩いていた。
情けない…。呟くことすら出来ない密紀の額に冷たい感触。
「大丈夫か保科、ほら水」
苦笑しながら千秋がペットボトルを密紀の額に押し当てている。
「すみませ…」
慌てて身体を起こそうとして千秋に制される。千秋が横に座ってペットボトルのキャップを捻った。密紀はゆっくり上半身を起こし、水を受け取ると一口飲んだ。身体中に染み渡る冷たさ。こんなに美味しい水は初めてだ。
「初日だからな、とりあえず十周だったけど、キツかったか?」
「…初日だから?」
「団員は三十周デフォだからな」
密紀が固まる。それはある種もう運動部では…?
やはり自分には無理なんじゃと密紀が下を向きそうになった時、千秋の手が密紀の頬に触れた。細くなっていた密紀の息が驚きで一瞬止まる。
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