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エール4-6

 憧れの人のように、大好きな人のように振る舞ってみたかった。この動機は不純だろうか?結局心配をかけている。 「いんじゃね?」  水野が口端を上げて笑った。腕を組んでだらりと机にもたれ掛かる。 「理由や動機なんて何でもいんだよ保科。要はお前が動いたかどうか、お前がなりたい自分に近付けたかどうか」  じゃね?と水野が千秋に同意を求める。千秋は密紀の背中に手を当てると大きく頷いた。 「応援の基本は自分を奮い立たせること。まず自分の中に熱い気持ちが在る、それが一番大事なんだよ保科」  千秋の声が耳に降る。密紀は赤い鼻で千秋を見上げる。千秋の優しい目がそこにあって、密紀は安心する。 「気持ちだけはもう十分合格ラインだね」  二階堂が言うと、鳥越も可南も微かに笑った。 「だけど…」  水野が少し低い声を出す。 「正義を成す者は時に恨みも買う。気を付けろよ?」 「え…」  真剣な水野の表情に密紀が少し身体を竦める。 「簡単に言えば、逆ギレに気を付けろってことだね」  二階堂の補足に密紀は「そう言うことか」と気付いて息を詰める。  確かに、橋野と元宮だけでなく、自分が応援団員の候補になっただけでも気に入らない連中も沢山いるだろう。それを偉そうに誰かを守ろうとしたなんて鼻についているかもしれない。

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