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エール4-12
眠れない。
明日がテストの日だという緊張もあるが、密紀はベッドの上でうずくまるようにして自分の身体を抱きしめた。
千秋に抱きしめられた時の腕の感触がまだ残っている。自分を励ます声も耳の奥底で響き続けている。
「千秋先輩…」
密紀はうっすら目を開けると、お守りのように枕元に置いてあった千秋の団服を見つめた。瞬間、千秋の匂いが鼻腔に蘇る。
ズクンと、身体の奥が熱くなるのを感じる。
「…ダメ!」
密紀の唇から思わず声が漏れる。頭の隅の方でダメだと叱っている冷静な自分を押し除けて、どんどん大きくなっていく鼓動に負けるように、密紀は千秋の団服を引き寄せた。
千秋の匂い。
物凄い背徳感に襲われながらも、自分の中の一番深い部分から湧いてくる劣情に勝てず、密紀はそっとズボンの中に手を入れる。
「…んっ」
もう上を向いている自身に少し触れただけなのにビリっと身体中に電流が走った。そっと包むように握ると、それ自体が生き物のように脈打っているのが分かる。
こんな感覚は初めてだ。
どうしよう。
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