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エール4-13

 戸惑いながらも上下する手が止まらない。千秋の団服の匂いを肺に入れると、それは熱い吐息となって口から漏れる。 「ん、んんっ、千秋先輩…」  密紀は淡白な方で、必要以上の自慰行為をしたことがなかった。誰かのことを考えながらするというのも、今回が初めてだった。  それが男の、大事な先輩だなんて…。 「千秋先輩…」  ごめんなさいと思う気持ちと、千秋に触れられているような妄想が入り混じって、脳がショートしそうになる。 『いいよ保科』  耳が勝手に千秋の声を響かせる。 『気持ちいいなら、イっていいよ』  頭が勝手に自分の手に千秋の手を重ねさせる。 「せん…ぱい…っ」  涙が溢れてきた。自分でも経験したことのない快楽が頂点に達しようとしている。 「ん、くっ」  それでも、だけは考えないでおこうと、歯を食いしばるように唇を結ぶ。だが我慢し切れず、口端から熱い吐息まじりの声が漏れる。それは自分の出すものとは思えないくらい艶かしい。

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