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エール4-14
「あ、ん、ダメ…」
腰から下腹部にかけて蠢くような感覚。
『保科…』
「千秋先輩…千秋先輩!」
我慢出来ずに愛しい人の名前を呼ぶ。
「好…き、好き…千秋先輩」
負けてしまう。
このままじゃ、言わせてしまう。
手の動きが早くなる。もう何も考えられない。
「あ、ああ!ん…ん…」
目の奥がチカチカと光る。白濁色の想いが密紀の手に放たれた。身体が痙攣したようにピクピクと跳ねる。こんな身体の奥底が痺れる自慰行為は経験したことがない。
「は…はあ、はあ」
涙が止まらなくなった。
これ程の快楽があるなんて知らなかった、好きな人を思ってするこの行為が、こんなに気持ちいいなんて。でも…。
「ごめんなさい、千秋先輩」
後ろめたさは、千秋の団服をこの行為に使ってしまったからだけではない。
結局、想像してしまったのだ。
都合のいい自分。
言わせてしまった、達する瞬間。
『好きだよ、保科』
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