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エール5-1

 早朝のランニングもしたし、昼休みにはエールの型の予習もした。  放課後。 「今日だろ、頑張れよ」  日直の仕事で職員室に向かう密紀を見つけて竜也が声をかけてくれる。密紀は笑顔で頷くと、 「竜也も練習頑張って!」  大きな声で返し、手を振って廊下を歩いていく。 「あいつあんな堂々としてたっけ?」  密紀の背中を見送りながら、竜也が呟いた。  職員室で先生に頼まれた仕事をこなす。思ったより時間がかかって、密紀は壁の時計を見上げた。四時まであと三十分を切っていた。 「終わりました先生」  頼まれていたテキストのコピーと、日誌を渡すと、密紀は足早に教室に向かった。もうどの教室にも人影はまばらだった。  自分のクラスのドアを開ける。密紀の机の上にカバンがあるだけで、しんと静まり返っていた。  密紀は一つ深呼吸をすると「頑張ろう」と心で呟いて、教室の後ろのロッカーに向かう。千秋に貸してもらった団服を、今朝大事にそこにしまった。

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