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エール5-3
密紀が唇を噛む。
やったのは誰かなどと言う想像は容易についた。逆恨み、それもある程度覚悟していた。でも、それは自分に何をされてもいいと言う覚悟で、大事な千秋の、千秋が一緒に頑張ろうと言って貸してくれた団服をこんなにされたダメージは相当大きい。
「…どうしよう」
声が震える。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
頭の中を何度も同じ言葉が駆け巡る。神聖な団服を傷つけてしまった…。
「どうしよう…」
瞳に涙が浮かんで、流れた。それは頬を伝って幾粒も千秋の団服に落ちた。密紀は千秋の団服を胸に抱きしめた。
やっぱり俺なんかじゃダメなんだ。
俺なんかが望んでいい立場じゃなかったんだ。
嗚咽が漏れて、身体が震えた。団服に顔を埋めると千秋の匂いがする。
団服をこんなにしてしまった自分を怒るだろうか、呆れるだろうか?
もう、笑ってくれないだろうか?
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