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エール5-15
「…嫌じゃなかった?」
男同士のキス。鼻先で心配そうに千秋が聞く。頭の中は少し混乱していたが、密紀は小さく「大丈夫です」と頷く。
「あっ…」
すると今度は千秋がめいっぱいの力で密紀を抱きしめた。
「順番、逆になっちゃったな」
千秋の手が密紀の後頭部に回され、自分の胸に押し付けるように抱く。
「ちゃんと言わせて」
千秋が宝物を抱くように、密紀の髪に頬を寄せる。
「好きだよ」
今、千秋先輩は何て言った?
夢じゃないよね?
自分が持っている想いと同じことを…言ったよね?
密紀の瞳に涙が浮かぶ。そして、暖かなその胸で、自分と同じように早く鳴っている鼓動に気付く。
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